ニトリグループのアパレルブランド「N+(エヌプラス)」を運営するNプラスは10月9日、横浜市鶴見区の「島忠ホームズ新川崎店」2階に新店舗をオープンする。9月11日に開業した川崎大師店、葛西店に続く出店で、約1カ月の間に島忠ホームズへ3店舗を投入する。今回の出店で島忠内のN+は4店舗となり、グループ施設を活用した店舗展開が加速している。
ただし、N+全体が急速な店舗拡大局面に入ったわけではない。ニトリホールディングスの決算資料によると、2024年3月期末に38店舗だったN+は、2025年3月期末に44店舗へ増加。しかし、2026年3月期は新規出店がなく、14店舗を閉鎖して30店舗まで縮小した。拡大路線から一転して店舗網を整理し、その直後に島忠への連続出店が始まっている。
この動きは、単なる店舗数の回復よりも、出店立地の再選択として捉えるべきだろう。従来のN+はショッピングモールなどの商業施設を主要な出店先としてきた。ファッション専門店が集積する施設では、婦人服の購入を目的とする顧客を獲得できる半面、競合ブランドとの比較も避けられない。一方、島忠ホームズは家具や日用品、ホームセンターを中心に、日常生活のさまざまな買い物需要を受け止める施設だ。
今回出店する新川崎店も、ホームセンターに加え、食品スーパーやフードコートなどを備える生活密着型の商業拠点である。しかも、島忠の店舗案内によると、同店では8月11日に家具フロアの営業を終了している。N+の出店区画との直接的な関係は確認できないものの、既存施設の売場再編が進む時期に、グループのアパレルブランドが導入される点は注目される。
商品戦略も変化している。N+は今秋からリブランディングの一環として「ベーシック化」を強化。通勤に使えるきれいめアイテムから日常のカジュアルウェアまで、着回しやすさと手頃な価格を重視した構成へと移行している。今回紹介されたニットやパンツも2,990円から4,490円という価格帯だ。ファッションを買いに行く場所だけでなく、生活必需品を買う施設でも選ばれる商品構成を志向していると考えられる。
もっとも、ホームセンターと婦人服の相性は未知数だ。家具や日用品の購買客が衣料品売場へ流れるとは限らず、施設内での視認性や回遊動線が成果を左右する。島忠新川崎店には既にアパレルの取り扱いもあり、施設全体として衣料品をどう位置づけるかも重要になる。
ニトリグループにとっては、島忠の既存集客を生かせるだけでなく、ホームセンター側も衣料品を拡充することで購買機会を広げられる可能性がある。外部テナントとして商業施設へ出店する場合と比べ、グループ内で売場構成や販促を調整しやすいことも利点だ。ただし、出店費用や収益面での効果は明らかになっていない。
かつて店舗数の拡大を目指したN+は、一度大幅な整理を経て、今度は島忠という自社グループの店舗網に活路を見いだそうとしている。52店舗を持つ島忠は、今後の展開余地という点でも無視できない存在だ。今回の連続出店は、N+の再成長に向けた新たな出店モデルの試金石となりそうだ。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
オープン店舗情報
◆N+ 島忠ホームズ新川崎店
所在地 神奈川県横浜市鶴見区江ケ崎町15-30 島忠ホームズ新川崎店 2階
開店日 2026年10月9日(金)
営業時間 10:00~21:00
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