JR東日本クロスステーションは、エキュート大宮の飲食・食物販区画を一部改装し、2026年10月21日から11月13日にかけて新店4店を含む9店を順次開業する。今回の改装の狙いは、乗換拠点としての「食の利便性」を磨くことにある。通勤の合間や新幹線利用前の食事需要を捉え、専門店の商品や提供スタイルを駅特有の「時間制約」に合わせているのが特徴だ。
例えば、新業態の「立鮨 銀座おのでら」は、一貫から注文できる立ち食いスタイルと持ち帰りの両方に対応する。また、エキナカ初出店となる「ごちとん」は、豚汁を麦味噌・塩ベースに絞り、10種の味噌おにぎりを新たに開発した。おにぎり2個とミニ豚汁、漬物を組み合わせた弁当も販売し、店内でサクッと食べるか、時間がなければ持ち出すかを選べるようになっている。このように、専門店の本格的な味を「移動の予定に合わせて柔軟に利用できる構成」が、大宮の新しい強みである。
一方で、同じ駅商業施設の利便性向上でも、地域の「日常生活上の用事」を丸ごと引き受ける方向へ進化したのが、蘇我や千葉の開発だ。
2016年3月に全面改装した「Dila蘇我」は、日常性・利便性の高い業種への見直しを掲げた。そばやおむすび、ベーカリーに加え、ドラッグストアやコンビニ、雑貨店を配置。店舗間に通路を新設して乗換動線から立ち寄りやすくし、繰り返し駅を使う人の買い物や食事を日々の移動に組み込む「地域密着型」の構成をとっている。
千葉では、その生活を支える機能をさらに広く取り込んでいる。ペリエ千葉は建て替え時に、改札内へ生鮮三品の常設店舗やクリニックを導入し、駅で済ませられる用事を食材購入や通院にまで広げた。この方向性は近年の改装にも引き継がれており、2025年6月に改札内へ出店した「クイーンズ伊勢丹」は、県産食材を使った惣菜や地元ベーカリーの商品を揃え、朝食から晩酌まで対応。同年7月には改札外の「PERIE MARCHE&GOHAN」が飲食や試食機能を追加し、地域の日常の食卓を支えつつ、千葉の食を味わう目的そのものを生み出している。
蘇我・千葉と大宮の開発の違いは、ターゲットが「地域住民か旅行者か」という単純な区分ではない。いずれも通勤や乗換の巨大な需要を抱えている点は共通している。そのうえで、蘇我や千葉が駅で担う「生活機能の幅を広げる」アプローチをとったのに対し、今回の大宮は「限られた時間に食事をどう提供するか(時間価値の最大化)」に重点を置いている点に明確な違いがある。
大宮の改装対象である全9店(既存の「ほんのり屋」「仙臺たんや利久」などを含む)は、いずれも朝7時から営業する計画だ。日常食を支える店舗を残しつつ、専門店の食事を「少量でも」「持ち帰りでも」利用できるようにする。駅の利便性とは、価格や近さだけで決まるものではない。乗車までのタイムリミットと、その時に食べたい量にジャストフィットできることも大きな価値になる。大宮はその選択肢を増やすことで、巨大な交通拠点としての強みを、確実に食の販売へとつなげようとしている。以下、同社のプレスリリースから画像を引用。
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