AOKIは10月9日、川崎フロンティアビル1階に「AOKI川崎駅東口店」を開く。店舗面積は約80坪。銀座本店の意匠を継承する駅前型の新フォーマット店舗だ。旧川崎東口店は移転のため9月6日に閉店しており、今回は既存商圏で立地と売場を更新する出店となる。

背景には、男性の仕事着をめぐる需要の変化がある。帝国データバンクによると、2025年度の主要紳士服7社のスーツ事業売上高は、一部推計を含め3386億円、前年度比5.2%減。既製ビジネススーツやドレスシャツが鈍化する一方、オーダースーツは堅調で、AOKIではカジュアル衣料が伸長した。日常着としてのスーツ需要が細るなか、特別な場面の一着と、日々使う仕事着をそれぞれ取り込む必要が生じている。

銀座本店の刷新は、その両方向を示した。250坪の売場でレディースを拡大し、上質なスーツを扱うロイヤルコーナーを新設。中央にはインナーやシャツを配置し、接客しながら組み合わせを提案する構成にした。国内外の客が訪れる銀座で、スーツの専門性を生かしつつ、日常の衣料まで購買対象を広げる店の姿を提示したと読める。

この改革は内装だけにとどまらない。AOKIの決算説明資料は、従来型店舗の課題として郊外・ロードサイド立地と150坪以上の売場、多在庫を挙げ、商品構成の変更、少在庫化、好立地への移転を一体で進める方針を示す。一方、既存大型店では売場を集約し、空いた部分をグループ内外の事業へ転用している。ロードサイドの資産を活用しながら、新しい店舗の面積と立地を見直す戦略だ。

駅前やビルインへの出店自体は以前からある。今回の変化は、そこで何を、どのように売るかにある。2月には80坪の「ららテラス 武蔵小杉店」を開き、生活拠点で新フォーマットを展開した。同社は2035年までに売上高構成比をビジネス4割、カジュアル3割、レディース3割へ変える目標を掲げている。

地方駅前への展開も、この延長で考えるべきだろう。駅前という住所だけで日常利用が生まれるわけではない。通勤、就業、買い物の動線が重なり、衣料を買い足す客との接点を確保できるかが立地選別の条件になる。全国の主要拠点への拡大方針を、地方駅前への一律出店と捉えることはできない。

川崎の新店が入るビルはJR川崎駅徒歩3分、京急川崎駅徒歩1分。店内中央にはシャツ、ブラウス、ネクタイを置き、着回しを視覚的に提案する。スーツを購入する機会に加え、通勤や買い物の途中でインナーなどを補充する来店をつくれるかが焦点となる。

ただし、実用衣料へ領域を広げれば、仕事と普段着を兼ねる「感動パンツ」などを展開するユニクロとも競合する。機能性や着回しやすさだけでは差がつきにくい。 AOKIに問われるのは、仕事の場面や手持ちの服に合わせて選ぶ接客を、来店理由にできるかだ。銀座で示した提案力を約80坪で日常利用につなげる。その成否が、次の店舗展開の説得力を左右する。以下、株式会社AOKIのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。

【店舗情報】

店舗名:AOKI川崎駅東口店

住所:神奈川県川崎市川崎区駅前本町11ー2 川崎フロンティアビル1F

電話番号:044-221-2888

店舗面積:約80坪

営業時間:10:00~20:30

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