有隣堂が「誠品生活」を関西初展開へ、なんばマルイに台湾発カルチャー拠点
有隣堂は、台湾発のライフスタイルブランド「誠品生活」を、2027年に大阪・難波の「なんばマルイ」へ出店する予定だ。関西エリアでは初出店となり、有隣堂はライセンシーとして店舗運営を担う。出店先となるなんばマルイは、大阪・難波の中心部に位置し、国内外からの来街者が集まる交通・観光・商業の結節点にある。今回の出店は、台湾発ブランドの関西進出であると同時に、有隣堂が進めてきた「本を起点にした複合型店舗づくり」が、東京・日本橋から大阪・難波へ広がる動きでもある。
誠品生活は、書籍、文具、生活雑貨、食品、レストラン、イベントなどを組み合わせ、買い物だけでなく文化体験や滞在を生み出すブランドとして知られる。日本では2019年、有隣堂が「誠品生活日本橋」をライセンシーとして運営開始した。同店はCOREDO室町テラス2階の全フロア、約877坪に出店し、本、文具、工房、セレクトショップ、雑貨、食品、レストラン、ドリンクなどを扱う複合型店舗として展開されてきた。
有隣堂にとって、こうした複合型店舗への取り組みは、誠品生活から始まったものではない。同社はこれまでも、書店に雑貨やカフェ、イベント性を重ねる店舗づくりを進めてきた。横浜・桜木町の「STORY STORY YOKOHAMA」は、有隣堂が運営する「書店×雑貨×カフェのお店」として展開されている。書籍販売を中心にしながら、雑貨やカフェを組み合わせ、駅前商業施設の中で日常的に立ち寄れる滞在型の書店をつくる試みといえる。
さらに2018年には、東京ミッドタウン日比谷に「HIBIYA CENTRAL MARKET」を出店した。同施設は、クリエイティブディレクターの南貴之氏がプロデュースするアーケード型複合ショップで、飲食、アパレル、理容、雑貨、書籍などを組み合わせた構成となっている。有隣堂自身も同店について、「市場」「街角」「路地」の記憶を小さな街のような複合型店舗で表現すると説明しており、従来型の書店とは異なる商業編集に踏み込んでいた。
この流れを踏まえると、なんばマルイへの誠品生活出店は、有隣堂が外部ブランドを運営する単純なライセンス事業ではなく、同社が模索してきた「本を軸に、生活・食・雑貨・イベント・滞在を束ねる店舗」の関西展開として見ることができる。自社業態であるSTORY STORYやHIBIYA CENTRAL MARKETで積み上げてきた複合型店舗の経験が、誠品生活という強いブランド文脈と結びつき、日本橋に続いて難波へ展開される構図だ。
なんばマルイ側にとっても、この導入は館の性格を変える意味を持つ。難波は、南海、Osaka Metro、近鉄、阪神などが交差する大阪ミナミの玄関口であり、道頓堀、心斎橋、黒門市場などにも近い。買い物客だけでなく、観光客、訪日客、イベント来街者が混在するエリアである。そこに誠品生活が入ることで、なんばマルイはファッションや物販を中心とした駅前商業施設から、アジア文化や生活提案を発信する滞在型拠点へと役割を広げることになる。
今回の出店で重要なのは、「台湾発」「関西初」という分かりやすい話題性だけではない。むしろ注目すべきは、有隣堂が長年取り組んできた書店の再定義が、難波という国際的な回遊地に持ち込まれる点にある。日本橋では、再開発エリアにおける文化商業の核として誠品生活が展開された。一方、難波では、観光・交通・エンタメ・インバウンドが重なる都市型エリアの中で、文化体験をどう日常の商業導線に組み込むかが問われる。
書店業界では、書籍販売だけで来店動機をつくることが難しくなる中、本を起点にしながら、雑貨、飲食、イベント、地域性、体験価値を組み合わせる動きが広がっている。有隣堂はその中で、単に売場を複合化するのではなく、場所ごとに異なる編集を行ってきた。STORY STORYでは駅前の生活導線に寄り添い、HIBIYA CENTRAL MARKETでは街場的な複合編集を試み、誠品生活日本橋では台湾発ブランドの文化発信力を日本市場に接続した。なんばマルイへの出店は、その蓄積を関西の主要観光・商業拠点へ移す動きといえる。
なんばマルイにとっては、館内に目的来店性のあるカルチャー拠点を持つことで、来街者の滞在時間や回遊の質を高める効果が期待される。特に難波は、短時間の買い物、飲食、観光、移動が交錯するエリアであり、施設側には「立ち寄られる場所」から「時間を過ごす場所」への転換が求められる。誠品生活は、本や雑貨を売るだけでなく、イベントや文化交流を含めた場づくりを得意とするため、なんばマルイの再編集にとって象徴性のあるテナントになる。
今回の出店は、有隣堂にとっては複合型書店運営の関西展開であり、なんばマルイにとっては難波の国際的な来街者を受け止める文化拠点づくりの一手となる。書店、雑貨、食、イベントを組み合わせる誠品生活の導入によって、難波の駅前商業に新たな滞在理由が加わることになる。以下、同社のプレスリリースから店舗概要と画像を引用。
■店舗概要
- 店舗名:未定
- 開業時期(予定):2027年
- 出店場所:なんばマルイ
- 所在地:大阪府大阪市中央区難波3-8-9
- 運営:株式会社有隣堂
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