体験型ストア縮小局面であえて常設化 東京駅「&found」が売るのは商品より顧客の反応
大日本印刷(DNP)とJR東日本クロスステーションは今冬、東京駅のエキナカ商業施設「グランスタ東京」改札内1階に、ブランド体験型店舗「&found」を開業する。商品やサービスの展示だけでなく、キャストによる説明や試用、店頭・ECでの購入、来店者の反応収集までを一括して提供する常設店舗だ。
体験型ストアという業態自体は新しくない。商品を試してもらい、接客や行動から得たデータを出展企業へ返すモデルは、b8taや大丸東京店の「明日見世」などが先行している。一方、b8taは2025年に有楽町店と阪急うめだ店を閉店。西武渋谷店のCHOOSEBASE SHIBUYAも2026年9月末で実店舗を閉じ、ECと催事へ軸足を移す。話題性だけでは常設運営を続けにくいことが見え始めた局面での出店となる。
「&found」の差は、東京駅改札内という立地にある。大丸東京店9階の「明日見世」が、目的を持って売場を訪れる顧客と比較的長く接するのに対し、「&found」が狙うのは乗り換えや列車待ちのスキマ時間だ。
JR東日本によると、東京駅の2024年度1日平均乗車人員は43万4,564人。このうち定期外が24万5,908人、定期が18万8,655人だった。旅行や出張などによる新規接触の多さと、通勤・業務利用者への反復接触を同じ場所で確保できる。認知だけでなく継続利用や習慣化まで狙う今回の仕組みとは相性がよい。
両社は2022年から上野、東京、大宮の各駅で実証実験を重ねてきた。今回の常設化は、単発のポップアップを増やす話ではない。JR東日本クロスステーションは駅の人流と区画を企業向けサービスに変え、DNPは接客時の音声や店内行動を分析し、VOCレポートやコンサルティングへつなげる。店頭売上だけに依存しないBtoB型の収益構造が、この業態を支えることになる。
ただし、出展ブランド、店舗面積、料金、成果指標はまだ公表されていない。東京駅利用者の反応が一般市場をどこまで代表するかという課題も残る。「&found」は商品を売る店というより、駅のスキマ時間からブランドを育てる材料を集める店だ。先行する体験型ストアが苦戦した持続性の壁を、巨大な反復人流とデータ事業で越えられるかが問われる。大日本印刷株式会社のプレスリリースから画像を引用。
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