東京建物は、東京駅八重洲口前で進めてきた大規模複合再開発「TOFROM YAESU TOWER」を2026年9月10日に開業する。商業ゾーン「TOFROM YAESU Shop & Restaurant」は、隣接する「TOFROM YAESU THE FRONT」と合わせて約6,000㎡、全68店舗で構成。9月10日時点ではTOWER内の55店舗が開業し、残る店舗は2026年冬以降に順次開業する。

注目すべきは、超高層ビルの低層部に単純な飲食集積を設けたことではない。再開発によって失われやすい八重洲の路地、老舗、小規模店舗の連なりを、巨大建築の中に再構成しようとしている点にある。

出店するのは、創業170年を超える「割烹 嶋村」、創業70年を超える「TaiKouRou Tokyo」など、再開発区域で営業してきた老舗。一方で、ミシュラン一つ星店の新店舗「天よこた 明日へ」「焼鳥 おみ乃 雫」なども加わる。さらに、松屋、小諸そば、スターバックスなど日常利用型の店舗も配置される。高級店だけで八重洲らしさを演出するのではなく、接待、観光、出張、オフィスランチまでを同じ街区で受け止める構成だ。

建築計画も内向きではない。多くの店舗を路面側に配置し、八重洲通り、八重洲仲通り、外堀通り、さくら通りを3本の通路で接続する。約1,200㎡の「檜物町スクエア」も設け、館内への囲い込みより、街を通り抜ける人流と滞留を生み出そうとしている。

東京駅の2024年度1日平均乗車人員は43万4,564人。そのうち定期外利用は24万5,908人で、通勤以外の需要も大きいことがうかがえる。地下の高速バスターミナル、約800席の劇場・カンファレンス施設、オフィス、医療施設との複合効果も見込まれる。

近隣には、57店舗を集め「ジャパン・プレゼンテーション・フィールド」を掲げる東京ミッドタウン八重洲や、東京駅地下のヤエチカという強力な商業集積がある。店舗数や話題店だけで競えば埋没しかねない。その中でTOFROM YAESUが選んだのは、全国の有力店を並べること以上に、八重洲にあった店と街路の記憶を新しい建物へ戻す方法だった。

成否を分けるのは、外向きの店舗配置と接続通路が、本当に周辺街路への回遊を生むかどうかだ。巨大ビルの中に路地の雰囲気をつくるだけで終わるのか、それとも八重洲の街そのものを再生できるのか。TOFROM YAESUは、再開発が街の個性を消すという従来の課題に対する、一つの回答になろうとしている。以下、同社のプレスリリースから画像と事業概要を引用。

● 「TOFROM YAESU」事業概要

TOFROM YAESU THE FRONT

建物名称TOFROM YAESU THE FRONT(読み:トフロム ヤエス ザ フロント)
施行者東京駅前八重洲一丁目東A地区市街地再開発組合
所在地東京都中央区八重洲一丁目9番1号
主要用途事務所、店舗、診療所
規模地上10階・地下2階、高さ約45m
構造S造・RC造・SRC造
敷地面積約1,280㎡
延床面積約12,220㎡
設計基本設計:株式会社日本設計、実施設計:大成建設株式会社一級建築士事務所
施工大成建設株式会社
工期着工:2024年2月1日、竣工:2026年7月15日

TOFROM YAESU TOWER

建物名称TOFROM YAESU TOWER(読み:トフロム ヤエス タワー)
施行者東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合
所在地東京都中央区八重洲一丁目6番1号
主要用途事務所、医療施設、劇場・カンファレンス、バスターミナル、店舗、住宅等
規模地上51階・地下4階、高さ約250m
構造S造・RC造・SRC造・CFT造
敷地面積約10,600㎡
延床面積約225,000㎡
設計基本設計:株式会社日本設計、実施設計:株式会社大林組一級建築士事務所
施工大林・大成建設共同企業体
工期着工:2021年10月1日、竣工:2026年2月28日

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