ラスカ小田原が3階を増床、人口減少下の県西商業で観光消費を取り込む食の拠点へ
JR小田原駅直結の商業施設「ラスカ小田原」は、2026年6月25日に3階エントランスを増床リニューアルし、新たな食のゾーンを開業する。運営するJR横浜湘南シティクリエイトによると、ラスカ小田原が2025年に開業20周年を迎えた節目に実施するもので、小田原エリア初出店を含む8ショップが集結する。
新ゾーンに出店するのは、HINEMOS、Nama Gateau Au Chocolat、魚商 小田原六左衛門、甘味喫茶 岡西、ゴンチャ、LES PÂTISSERIES LA MARÉE DE CHAYA/葉山 日影茶屋、森のチーズ舎/箱根チーズテラス、ミサキドーナツの8ショップ。地元酒蔵による日本酒、海産珍味、老舗甘味、箱根や葉山、三浦の菓子、台湾発のティーカフェなどを組み合わせた構成で、駅ビルの食物販・カフェ機能を強める内容となっている。
今回のリニューアルは、単なる駅ビルの新店導入ではなく、小田原商業が置かれた環境を映す動きとして捉えられる。小田原は神奈川県西部の中心都市であり、城下町としての歴史、箱根方面への玄関口、東海道新幹線・JR東海道線・小田急線などが接続する交通結節点という強みを持つ。一方で、地域の人口は減少傾向にあり、高齢化も進んでいる。地元生活者の購買だけに依存して商業を維持・拡大していくことは、以前より難しくなっている。
そのなかで、駅直結のラスカ小田原が強化しようとしているのは、地域外から訪れる人の消費をどれだけ駅前で受け止めるかという役割である。小田原市の観光客数と観光消費額は近年伸びており、2025年の入込観光客数は約897万人、観光消費総額は約392億円と、4年連続で過去最高を更新している。人口減少によって内需の成長余地が限られる一方、観光消費は地域商業にとって重要な外部需要になっている。
今回導入されるショップを見ると、その狙いは比較的明確だ。HINEMOSや魚商 小田原六左衛門、甘味喫茶 岡西は、小田原らしさを駅ビル内で表現する役割を担う。森のチーズ舎/箱根チーズテラスは箱根方面の観光イメージと接続し、ラ・マーレ・ド・チャヤ/葉山 日影茶屋やミサキドーナツは、湘南・三浦方面まで含めた神奈川沿岸の手土産需要を拾う。ゴンチャは若年層や日常利用を引き込むカフェ機能として配置される。
つまり、ラスカ小田原は小田原単体の土産売場ではなく、箱根・湘南・三浦まで含めた広域観光圏の食を編集する売場へと踏み込んでいる。観光客にとっては帰路の買い物拠点となり、地元客にとっては日常の駅ビル利用のなかで地域ブランドを再発見する場になる。駅ビル側にとっては、通勤・通学客だけでなく、観光客、日帰り客、広域来街者を取り込むことで、商業施設としての客層を広げる狙いがある。
小田原駅周辺では、ミナカ小田原なども含め、観光客を駅前で滞留させ、買い物や飲食につなげる商業機能の整備が進んできた。ラスカ小田原の今回の増床は、その流れのなかで、駅ビルが改めて「通過点」から「消費の受け皿」へ役割を強める動きといえる。県西最大級の都市でありながら人口減少に直面する小田原にとって、外から来る人の財布をいかに地域商業へ接続するかは大きなテーマである。
ラスカ小田原の新ゾーンは、地元客と観光客をつなぐ食の編集拠点として、駅直結商業の価値を再定義する試みになる。地域内需要が縮む時代に、観光消費を駅前で取り込む。今回のリニューアルは、小田原商業が次の成長源をどこに求めているのかを示す動きだ。以下、同社のプレスリリースから画像を引用。
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