たちばな、縮小する呉服市場で40店舗目を出店 リソラ大府に“節目需要”の相談拠点
株式会社たちばなは2026年6月11日、愛知県大府市の「リソラ大府ショッピングテラス」1階に、きもの専門店「たちばなリソラ大府店」をグランドオープンする。前日の6月10日にプレオープンを予定しており、今回の店舗は同社にとって愛知県内3店舗目、全体では40店舗目となる。
注目したいのは、呉服市場が長期的な縮小傾向にある中で、たちばながなお新店を出している点だ。市場全体が大きく伸びているから店舗を増やすのではなく、着物を必要とする場面が「日常の買い物」から「人生の節目」に集約されていることを捉え、そこに相談型の店舗を置いている。
たちばなリソラ大府店では、着物販売に加え、振袖購入、振袖レンタル、ママ振袖、訪問着、留袖、小紋、着物クリーニング、しみ抜き、丸洗い、寸法直し、譲り受けた着物やタンスに眠る着物の活用相談などを扱う。単に反物や着物を販売する店舗ではなく、成人式、七五三、卒業式、結婚式、法事といった家族の節目に発生する着物需要を受け止める窓口として設計されている。
呉服市場では、かつてのように家庭内で着物の知識が自然に継承されにくくなっている。着物を持っていても、使えるのか、直せるのか、今の寸法に合うのか、成人式や卒業式で活用できるのかが分からない家庭は少なくない。そこで必要になるのは、商品を並べるだけの売場ではなく、「買う」「借りる」「直す」「譲り受けたものを使う」といった選択肢を整理できる相談拠点である。
その意味で、リソラ大府への出店は合理的だ。同施設は約1,000台の無料駐車場を備え、食品スーパーや物販、サービス、飲食、スポーツクラブなどが入る生活圏型のショッピングセンターである。百貨店や都心商業地ではなく、日常利用される施設内に店舗を置くことで、着物専門店に足を運ぶ心理的な距離を下げることができる。
特に振袖や七五三、卒業式関連の需要は、本人だけで完結しない。親、祖父母、きょうだいを含めた家族単位の意思決定になりやすく、相談や下見、採寸、写真、手入れなど複数回の接点が発生する。生活導線上の商業施設に店舗があることは、こうした家族需要を拾ううえで大きな意味を持つ。
たちばなは、呉服販売だけでなく、レンタル、手入れ、フォトスタジオ、着付教室などを組み合わせて事業を展開している。縮小市場の中で新店を出せる余地は、従来型の呉服販売を広げることではなく、着物にまつわる不安や手間を一括して引き受けるサービス化にある。今回のリソラ大府店も、その延長線上にある出店といえる。
リソラ大府側にとっても、たちばなの導入は日常利用だけではない来館目的を加えることになる。食品や日用品、飲食、サービスに加え、成人式や七五三などの準備需要を取り込むことで、施設は家族の生活イベントに関わる接点を持てる。これは、生活圏型商業施設が単なる買い物の場所から、地域の暮らしを支える相談機能を持つ場所へ広がる動きとも重なる。
今回の出店は、呉服市場の明るい拡大を示すものではない。むしろ、縮小する市場の中でも、需要の残る場所を見極めれば新店を出せることを示している。たちばなリソラ大府店は、着物を売る店舗というより、地域の家族が人生の節目を迎える際に相談できる拠点であり、縮小市場における専門店出店の一つの形といえる。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【店舗概要】
店舗名:たちばなリソラ大府店
所在地:〒474-0053 愛知県大府市柊山町1丁目98 リソラ大府ショッピングテラス 1階
TEL:0562-57-5080 FAX:0562-57-5082
メールアドレス:obu@tachibana-group.co.jp
アクセス:JR東海道本線「大府駅」より徒歩約15分/車の場合、ICより約5分
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