老舗店の葛藤 伝統とトレンドをコントロールできない商業環境
先日、100年以上続いている和菓子専門店の常務とお会いする機会があり色々とお話を伺った。
その中で
「うちは古いだけの印象なのか何十年もお付き合いしてきた鉄道系商業デベロッパーから退店要請がきたんだよね。御贔屓にしていただいているお客様も多くいらして近隣に店舗を至急探さないといけない。情報があったらくださいね・・・」
最近はメインフロアとも言える名店街フロアに新参の和菓子や洋菓子パティシエ・製菓会社のオリジナルショップなど次々生まれ入れ替わりも激しい。確かに客層も若い方だし、トレンドに敏感な層が選ぶ贈答ベストテンなど見ると老舗の名前は出てこない。流行を作りそれに沿った商品を製造提供する事は悪い事ではない。
しかし老舗の貫録とでも言おうか安心感とでも言うのか?特に贈答品でのパワーは衰えていない。頂いて嬉しいものなのだ!老舗の商品はロゴを見ただけで心躍るものなのです。老舗店が展開するゾーンと新しい店舗群が展開するゾーンとを融合した食物販の構成が必要とされるのではないでしょうか。
前出の常務が最後に「我々も伝統だけではなく新しい商品開発も必要だとおもっている。同時に商業施設側の意向に右往左往せざるを得ない状況も良いとは思えない。今後は商業施設施設に頼らない出店戦略も考えていかねばならない。」とのお言葉が身に染みた。お言葉の裏に見え隠れする「流行ばかりにとらわれている・老舗の良いところを引き出していない」というキーワードが身につまされた。我々商業施設にかかわるものとしては、出店者の意向をうかがい、それを商業施設側に正しく伝えることが我々の重要な仕事だと思っている。
賢人の目線 文責 樋口博明