神保町でコーヒーを売るだけでは足りない 上島珈琲店、創業地再出店の本当の勝負
2026年9月1日、上島珈琲店が東京・神田神保町に「神保町店」を開業する。店舗は神保町駅から徒歩2分のクロサワビル1階。35.7坪に33席を設け、ネルドリップコーヒーやミルク珈琲、サンドイッチを提供する。
上島珈琲店にとって神保町は、2003年6月に1号店を開いた創業の地である。ただし、その原点は単なる駅前カフェではなかった。1号店は三省堂書店が運営していたセレクトショップ「自遊時間」に併設され、本を選び、コーヒーを飲みながら時間を過ごす空間として誕生した。現在では一般的になったブックカフェを、チェーン業態の中へ早くから取り込んでいたのである。
1号店は2008年、入居していた建物の解体計画に伴って閉店した。その後、三省堂書店第2アネックスにも神保町店が設けられたが、こちらも本店建て替え直前の2022年3月末に営業を終えている。
神保町には約130店の書店が集まり、その周囲には出版社、印刷・製本会社、大学や研究機関が集積する。ラドリオ、ミロンガ、さぼうるなど、戦後から営業を続ける老舗喫茶店も多い。かつて喫茶店は、編集者と著者が打ち合わせをし、学生が本を読み、古書店主や出版関係者が情報を交わす、街に分散した応接室や仕事場でもあった。
そのため、神保町ではコーヒーを提供するだけでは店の理由になりにくい。店主の人柄、音楽、内装、常連客がつくる空気まで含め、店そのものが来街目的になる場所だからだ。
今回の神保町店が音環境や滞在体験を強く打ち出しているのは、この街の特性を意識したものとみられる。店内には木と紙で作られた円筒形の波動スピーカーを導入し、ジャズが空間全体を包む設計とした。席に座ったまま注文できるモバイルオーダーも、利用者の読書や仕事を中断させない仕組みといえる。35.7坪に33席という配置も、席数を詰め込むより、過ごす時間の質を優先した設計だ。
一方、2026年3月に建て替えを終えて復活した三省堂書店神田神保町本店には、独自の「喫茶ちそう」が設けられた。かつて三省堂とともにブックカフェをつくった上島珈琲店が、今回は三省堂の外側から街の滞在需要を取りにいく。館内で本の余韻を楽しむ喫茶ちそうに対し、上島珈琲店は朝7時から営業し、通勤者、学生、出版関係者、来街者の日常を受け止める。
これは懐かしさを売るだけの創業地回帰ではない。老舗喫茶が築いてきた「街の応接室」を、現代のチェーンが継承できるか。上島珈琲店の本当の勝負は、店舗数を一つ増やすことではなく、再び神保町の居場所になれるかにある。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■店舗概要
○店舗名:上島珈琲店 神保町店
○所在地:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-4 クロサワビル1F
(都営新宿線・都営三田線「神保町」駅徒歩2分/東京メトロ半蔵門線「九段下」駅徒歩2分 /JR中央線・総武線「御茶ノ水」駅徒歩8分)※2003年に開設した店舗とは場所が異なります
○営業時間:7:00~21:00
○定休日:不定休
○店舗面積:35.7坪 33席(全席禁煙)
○サービス:モバイルオーダー(多言語対応)可
○メニュー例(税込):
【コーヒー】
ネルドリップブレンドコーヒー(ホット):R 620円 L 700円
ミルク珈琲(無糖)(ホット):R 660円 L 780円
ミルク珈琲(黒糖)(ホット):R 690円 L 810円
【フード】
ミックスサンド:単品 790円
B・L・T with チーズエッグ:単品 770 円
※表示価格は、イートイン・テイクアウト共通です。
<7:00~11:00までモーニングセット/11:00~15:00までランチセット 販売>
セットドリンクは、コーヒー・ミルク珈琲(黒糖・無糖)・紅茶・無糖ミルク紅茶・オレンジジュース・カフェインレスのミルク珈琲(黒糖・無糖)からお選びいただけます。
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