トリアス、広域集客から生活動線へ 開業27年で進む郊外型SCの役割転換
福岡県久山町の大型商業施設「トリアス」で、2026年に新店舗の導入と既存店舗の改装が相次いでいる。ジョリーパスタ、ワークマン、屋根専門店「住みたかルーフ」の新規出店に加え、買取大吉の移転増床、DAISOへのStandard Products導入、UQスポットからau Styleへの転換、楽市楽座やサーティワンアイスクリームの改装が進む。
業種だけを見れば統一感の薄い構成にも見える。しかし、外食、仕事着、住宅修繕、通信契約、リユース、日用品、親子向け娯楽と整理すれば、共通するのは地域住民の日常生活に発生する用事である。今回の更新は、新たな大型核店舗で遠方客を一気に呼び込むものではなく、施設を訪れる理由を細かく増やし、来館頻度を高める方向にある。
トリアスは1999年4月に開業した。開業時には、コストコとヴァージンシネマズをそれぞれ日本進出第1号店として誘致している。当時はまだ日本で知られていなかった会員制倉庫型店舗とシネマコンプレックスを核に据えた、先進的な「バリューセンター」だった。珍しい業態そのものが目的地となり、福岡都市圏だけでなく広域から来館者を集めることが施設の役割だった。
現在もコストコや映画館、アミューズメント施設は強力な集客装置である。一方、開業から27年が経過し、コストコやシネマコンプレックスという業態自体は全国に広がった。トリアスにとっては、開業時の新奇性だけに依存せず、周辺住民が日常的に使う理由をどこまで増やせるかが重要になっている。
その象徴が「住みたかルーフ」だろう。屋根材を見て、触れて、比較できる住宅修繕のショールームは、一般的な商業施設のテナント構成からは外れている。しかし、自動車で来館し、買物や食事と一緒に住まいの相談まで済ませられる郊外施設との相性は悪くない。ワークマン、買取大吉、au Style、DAISOも、流行を追うための店舗というより、生活上の具体的な課題を処理する店舗である。
トリアスは九州自動車道福岡インターチェンジから車で約5分、無料駐車場約4,200台を備える。低層の建物が広い敷地に分散するため、徒歩回遊型の都心商業施設よりも、車で複数の目的を順に処理する使われ方に適している。日常型店舗の充実は、この立地特性を生かした再編でもある。
2022年には北山興産がトリアスの不動産信託受益権を取得し、グループ会社がトリアスマネジメントの全株式を取得した。同社は取得時、福岡市内で地域密着型商業施設を運営してきた知見と追加投資によって、地域に長く愛される施設を目指す方針を示していた。今回のテナント更新は、その方針が具体的な店舗構成として表れ始めたものと考えられる。
広域客を呼ぶコストコやレジャー機能を残しながら、地域住民が繰り返し訪れる生活機能を重ねる。トリアスは、非日常の目的地から日常と休日の双方を支える郊外生活拠点へと役割を広げようとしている。
今後の課題は、増えた来館目的を施設内の回遊につなげられるかである。店舗が広い敷地に分散するトリアスでは、出店数を増やすだけでは相互送客は生まれにくい。ゾーン間の案内、駐車位置、飲食との組み合わせなどを整え、コストコ目的の来館者をほかの店舗へ、生活目的の来館者をレジャーへ導けるか。今回の更新は、施設の役割転換の始まりであり、その成否は複数の用事を一度の来館に結び付ける運営にかかっている。以下、有限会社トリアスマネジメントのプレスリリースから画像を引用。
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