アトレ吉祥寺に館内2店舗目のスターバックス 駅ビルで同一ブランドが複数成立する理由
アトレ吉祥寺の本館B1階に、館内2店舗目となる「スターバックス」が2026年7月29日にオープンする。新店舗は全60席を備え、営業時間は10時から21時まで。全国でも限られた店舗で展開される「My フルーツ³ フラペチーノ®」を吉祥寺エリアで初めて扱う店舗となる。
一見すると、同じ商業施設にスターバックスが2店舗入ることは重複にも見える。しかし、今回の出店は単なる人気カフェの追加ではなく、駅直結型商業施設の中で、カフェの役割が細かく分かれ始めていることを示している。
アトレ吉祥寺には、すでに本館2階にスターバックスがある。既存店はJR吉祥寺西口改札を出てすぐの場所に位置し、営業時間は7時30分から21時30分まで、座席数は34席。朝の通勤・通学、駅利用の前後、待ち合わせ、テイクアウトなど、改札近接の利便性を強く持つ店舗である。
これに対し、新たに開業する本館B1階の店舗は60席を備える。営業時間は10時から21時までで、既存店よりも朝利用というよりは、買物途中の休憩や館内滞在を受け止める性格が強い。つまり、同じスターバックスであっても、2階の既存店は「駅利用型」、B1階の新店は「館内滞在型」として役割が分かれる構成になる。
この構図は、他の大型商業施設にも見られる。ららぽーとTOKYO-BAYでは北館1階などにスターバックスが配置され、広い館内の異なる導線でカフェ需要を受け止めている。アーバンドック ららぽーと豊洲でも、シーサイドデッキ側や地下1階など、複数のスターバックスが異なる利用シーンに対応している。東京駅のグランスタ周辺では、改札内外や八重洲側など、駅利用者の動線に応じて複数店舗が成立している。
これらの共通点は、単に来館者数が多いことではない。館内や駅周辺に複数の目的が重なっていることにある。通勤、通学、買物、観光、待ち合わせ、食事、オフィス利用、街歩き。それぞれの利用者は同じ施設にいても、必ずしも同じ入口を通り、同じフロアを回り、同じ時間帯にカフェを使うわけではない。そこで同一ブランドを複数配置することで、館内の異なる需要を分担できる。
アトレ吉祥寺も、この条件に近い。JR吉祥寺駅は2024年度の1日平均乗車人員が128,246人で、JR東日本管内でも上位に入る駅である。さらに京王井の頭線の利用もあり、吉祥寺は駅利用だけでなく、買物、飲食、井の頭公園方面への街歩き、近隣居住者の日常利用が重なる街でもある。
アトレ吉祥寺自体も、本館・東館の地下1階から2階までに約205ショップを持つ駅直結型商業施設である。駅ビルでありながら、改札前の通過需要だけで完結する規模ではない。食品、惣菜、雑貨、飲食、日常利用の店舗が複数フロアに広がる中で、B1階に60席のスターバックスを置くことは、地下フロアの滞在時間を伸ばす装置にもなる。
特にB1階は、日常的な買物や食の利用と結びつきやすいフロアである。そこにカフェの座席を加えることで、買物の合間に休む、同行者を待つ、駅に向かう前に時間を調整する、といった利用が生まれやすくなる。カフェは物販を補助する脇役ではなく、館内回遊を支えるインフラとして機能する。
同じ館にスターバックスが2つあるという事実は、ブランドの強さだけでは説明しきれない。むしろ、その館の中に複数の使われ方が存在し、それぞれに十分な需要があるからこそ成立する。アトレ吉祥寺の場合、改札近くの既存店とB1階の新店が、駅利用と館内滞在を分け持つ形になる。
今回の出店は、アトレ吉祥寺が単なる駅ビルではなく、通過、買物、待ち合わせ、休憩、街歩き前後の時間調整までを受け止める施設へ進んでいることを示している。スターバックス2店舗体制は、その変化を分かりやすく映す配置といえる。以下、株式会社アトレのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■アトレ吉祥寺施設概要
施設名 : アトレ吉祥寺
所在地 :・本館 東京都武蔵野市吉祥寺南町1丁目1番24号
・東館 東京都武蔵野市吉祥寺南町2丁目1番3号
営業時間:10:00~21:00 ※一部店舗により異なる
階数 : 本館・東館 地下1階~2階
店舗面積: 約12,000㎡
店舗数 : 205ショップ(2026年5月12日現在)
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