果物屋は果物だけを売らない アトレ中野で新宿高野と青木フルーツ、100年企業がスイーツで競う
2026年12月9日に開業するアトレ中野2階に、青木フルーツの「フルーツピークス」が出店する。アトレ初出店となる同店はテイクアウト専門で、タルトやズコット、ゼリー、焼き菓子など常時20種類以上をそろえる予定だ。今回の出店で、東京都内のフルーツピークスのテイクアウト専門店は6店舗目となる。
注目したいのは、その同じ2階に新宿高野の「フルーツクチュールタカノ」も入ることだ。青木フルーツは1924年、福島県郡山市でバナナ加工卸売業「青木商店」として創業。新宿高野は1885年創業で、1900年から果実を本業とする専門店を経営してきた。ともに100年以上の歴史を持つ果物専門店が、令和の駅ビルでは「果物そのもの」ではなく、果物を主役にしたスイーツで競う。
これは単なる競合出店ではない。果物専門店の商売が変わったことを象徴している。かつて高級果物は贈答需要を中心に成立し、専門店の目利きや仕入れ力そのものが価値だった。その力は現在、タルト、ケーキ、ジュース、パフェといった加工商品へ展開され、「少し贅沢な日常消費」へと用途を広げている。
なかでも青木フルーツは首都圏でフルーツピークスの展開を加速している。2025年にはエキュート秋葉原、豊洲セイルパーク、西武池袋本店へ相次いで出店。西武池袋店の開業時には、今後も都内出店を加速すると明言していた。中野は、その流れをさらに西へ進める出店と見ることができる。
同時に、出店形態も立地に合わせている。豊洲ではカフェ併設型を採用する一方、中野はテイクアウトに特化する。仕事や学校からの帰宅時に、自宅用のデザートや手土産として買う。駅直結商業で求められる短時間利用に、果物専門店の価値を合わせた形だ。
アトレ中野2階には成城石井、RF1、まい泉、PAOPAO、おむすび権米衛、THE STANDARD BAKERSなど、日常の食を支える店舗が集まる。新改札直結という立地も含め、ここは目的来館型のデパ地下というより、駅利用者の生活動線に組み込まれる食品フロアになる。
その場所で、1885年創業の新宿高野と1924年創業の青木フルーツが並ぶ。老舗が生き残るとは、昔と同じ商品を売り続けることではない。培ってきた専門性を、現代の生活導線と用途に合わせて売り直すことなのだろう。駅ビルという日常の最前線で、老舗同士がどんな商品と価格で選ばれるのかも注目したい。アトレ中野の2階は、果物専門店の100年後を見せる売場になりそうだ。以下、青木フルーツ株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店名:フルーツピークス アトレ中野店
所在地:〒164-0001 東京都中野区中野4丁目9番26号 アトレ中野2階
営業時間:10:00~21:00
形態:テイクアウト専門店 ※カフェの営業は行っておりません。
定休日:施設に準ずる
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