鳥貴族、別府に「DE&I×地域共創」の実験店舗──APUと太陽の家が設計段階から参画
焼鳥チェーン「鳥貴族」を展開するエターナルホスピタリティグループは5月15日、大分県初出店となる「鳥貴族 別府店」を開業した。同店は通路幅の拡張と段差レス設計による物理的バリアフリーに加え、地域住民や学生が利用できる「共創スペース(仮称)」を併設。全国約670店を擁する同チェーンで初めて、店舗そのものを「地域との接点装置」として再定義した出店となる。
開業に先立つ記者発表会には、立命館アジア太平洋大学(APU)の米山裕学長と、社会福祉法人太陽の家の山下達夫理事長が同席。エターナルホスピタリティグループはAPUと「地域振興および次世代人材育成に向けた包括連携協定」を締結し、太陽の家はユニバーサルデザインの監修を担った。設計段階からステークホルダーが関与する体制は、外食チェーンの標準出店プロセスとは一線を画す。
別府店の設計上の特徴は、従来店舗より広い通路幅と、車椅子利用者やベビーカー利用者を想定した座席配置にある。段差を極力排除した構造は、太陽の家のノウハウを反映したもので、同法人が掲げる「No Charity, but a Chance!」──施しではなく機会を──の理念を空間設計に落とし込んだ形だ。山下理事長は「インクルーシブシティ別府にふさわしい店舗」と評価している。
もうひとつの柱となる「共創スペース」は、従業員研修だけでなく、地域住民や学生によるワークショップ、コミュニティ活動の場として開放される。APUには約100カ国・地域から学生が集まり、別府市内には約3,000人の留学生が在籍する。米山学長は「多様な人々が自然に集い、交流できる場が新たに生まれる」と期待を示した。エターナルホスピタリティグループの大倉忠司社長CEOは、同社ビジョン「Global YAKITORI Family」のもと、「学術・福祉、地元との連携によって持続可能な社会と地域経済の発展に寄与する」と述べた。
別府という立地は、この実験店舗の成否を左右する。別府市は年間約800万人の観光客が訪れる温泉都市であると同時に、APUの立地により多文化共生が日常化した街でもある。太陽の家は1965年の創設以来、障がい者雇用と地域社会の統合を実践してきた組織であり、その存在自体が「インクルーシブシティ別府」の基盤を形成している。こうした地域特性と、鳥貴族が持つ均一価格・全席喫煙可という「誰でも入りやすい大衆性」との接続が、今回のコンセプトを支える構造だ。
ただし、別府店の取り組みが他店舗に波及するかは未知数である。共創スペースの運営には人的リソースと地域との継続的な関係構築が必要であり、チェーンオペレーションとしての再現性には課題が残る。また、ユニバーサルデザインの導入は物件選定や改装コストに影響するため、全店展開のハードルは低くない。
それでも、外食チェーンが「出店すること」そのものを地域との対話プロセスとして設計し直した点に、別府店の実験価値がある。大倉社長が述べた「サステナビリティの具現化」とは、ESG文脈での環境配慮にとどまらず、店舗という物理空間を通じて地域社会にどう接続するかという問いへの応答だ。別府店は、その問いに対するひとつの回答を示している。同社のプレスリリースから画像を引用。
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