AOKI、ロードサイド偏重から都市拠点へ 北千住「63坪の駅前型」に続き、武蔵小杉で「SC型」新フォーマットを出店
株式会社AOKIは2026年2月27日、「ららテラス 武蔵小杉」2階に「AOKIららテラス 武蔵小杉店」(80坪)をオープンします。旗艦店である銀座本店の全面リニューアルを起点に進めている店舗フォーマット転換の「第2フェーズ」と位置づけ、ショッピングセンター型の新フォーマットとして出店する計画です。
この動きは、紳士服小売が直面する構造変化を「需要が戻るか」ではなく「どの立地条件で、どんな店の仕組みで売るか」へ置き換えている点に意味があります。AOKIは従来、郊外ロードサイドを主とした直営チェーンの文脈が強い企業でしたが、駅前や駅直結の生活動線に合わせて、店舗の役割を組み替える段階に入ったと読み取れます。北千住で掲げた駅前型の省スペース店舗と、武蔵小杉で掲げたSC型の新フォーマットは、同じ方向を向きながらも、出店先の性格に合わせて「実装の重心」を変えたものと整理するのが適切です。
まず北千住では、2026年2月14日に「AOKI北千住駅西口店」(63坪)をオープンし、駅前型の「省スペース型ニューフォーマット店舗」として位置づけました。スーツを残しつつビジネスカジュアルとレディースの売場面積を拡大し、短時間でも買い物が進むゾーニング・動線を整えるとしています。品揃えを面積に依存させないため、ウェブオーダーや店舗受け取りといった在庫連携を前面に出し、「63坪でも従来のAOKIと変わらない品揃え・サービス」を掲げた点が象徴的です。
一方の武蔵小杉は、同じ都市拠点でも「駅前の小箱」そのものを反復するのではなく、約70店規模の専門店が揃う駅近接のショッピングセンターに合わせた「SC型」を打ち出しています。売場ではビジネスカジュアルとレディースを拡大し、コーディネートテーブルとインナー・シャツを中央に配置して、会話を起点に選びやすくする設計を明記しました。外観・内観には銀座本店のデザインを継承し、「街の総合洋品店」をキーコンセプトに据えるとしています。駅前で不足を補う北千住型が“在庫連携で成立させる店”だとすれば、武蔵小杉型は“編集と提案で迷いを減らす店”として、同じ変革の中の別解に位置づきます。
この2つを束ねる上位の論点は、ロードサイド型が得意としてきた「目的買い」「まとめ買い」「在庫の厚み」という前提を、都市側の購買条件に合わせて再設計していることです。AOKIは「スーツ一択」の時代が終わった一方で、服装自由化が「ビジネスで何を着ればよいか分からない」という新たな不自由を生んだ、という認識を示し、堅すぎず緩すぎない「程よいきちんと感」の提案を成長の中心に置きます。さらに2035年までに売上高構成比を「ビジネス4割:カジュアル3割:レディース3割」へ業態変革させる方針を重要指標として掲げました。都市側へ寄せる出店の連続は、この“比率で売るための売場”を、生活拠点の現場で量産可能な型にしていく工程と捉えることができます。
商業施設側・リーシング側から見ると、紳士服が「大箱前提」から離れることで、駅前ビルや駅直結SCの限られた区画でも“仕事服の不足を埋める機能”を組み込みやすくなります。ただし成功の条件は、単に店を小さくすることではありません。北千住型では在庫連携と受け取り導線が詰まらず回るか、武蔵小杉型では提案の起点(中央配置)が短時間購買のテンポを崩さずに機能するかが焦点になります。両者の違いを「どちらが上」ではなく、「都市拠点で成立させるために何を軸にしたか」という設計思想の差として追うことが、次の展開を読むうえで実務的です。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【店舗情報】
店舗名 :AOKIららテラス 武蔵小杉店
住所 :神奈川県川崎市中原区新丸子東3-1302 ららテラス 武蔵小杉2F
電話番号:03-6698-7958
店舗面積:80坪
営業時間:10:00~21:00




