SHIRO、香港初の直営店「SHIRO K11 Musea」開業 限定フレグランスと調合体験で現地需要を取り込む
株式会社シロは2026年5月1日、香港で初となる直営店舗「SHIRO K11 Musea」を、香港・尖沙咀の商業施設「K11 MUSEA」内にオープンした。開業後2日間の来店者数は約3,200名、売上は約2,000万円となり、香港限定フレグランス「花茶」のオードパルファンは店頭で約1,100本を販売した。
今回の出店は、SHIROにとって香港市場への本格的な入口となる。リリースでは、初日と翌日の2日間の来店者数が、2025年4月に韓国1号店としてオープンした「SHIRO Seongsu」の開業後2日間と比べて1.3倍、売上は同店オープン時の2倍だったとしている。さらに、来店客1人あたりの購入製品点数は3.3点となり、他国店舗の2倍以上だったという。
この数字から見えるのは、香港におけるSHIROの認知が、店舗開業前から一定程度形成されていた可能性である。単に新しい日本発コスメブランドとして受け止められたというより、フレグランス、スキンケア、メイクアップまで複数カテゴリーを横断して購入されている点に、ブランド全体への期待が表れている。海外出店の初動としては、限定商品だけで瞬間的な話題をつくるのではなく、ブランドの定番品や思想まで含めて受け入れられたことが大きい。
香港限定フレグランス「花茶」が初動をけん引
香港1号店で特に人気を集めたのが、香港限定フレグランス「花茶(HANACHA)」のオードパルファンである。SHIROは、香港の歴史や文化を学び、現地の食文化に欠かせない花茶をイメージして同商品を開発したとしている。店頭では開業後2日間で約1,100点を販売し、先行オープンしていた香港オンラインストアでも3日間で1,000点以上の注文があった。
海外出店において、現地限定商品は珍しい施策ではない。ただし、今回の「花茶」は、単なる地域名入りの商品ではなく、香港の生活文化にSHIROの香りを接続する役割を担っている。日本発ブランドとしての世界観をそのまま持ち込むだけでなく、香港の消費者が日常的に親しむ文化を入口にしている点が、この出店の特徴といえる。
また、開業時には入店待ちの列で「花茶」の香りを試せるようにしていたとされる。待機時間が最大で1時間半程度に及ぶ中で、行列そのものをブランド体験の一部に変えている点も見逃せない。混雑を単なる負荷にせず、香りを先に体験してもらうことで、入店前から購買意欲を高める導線をつくっている。
K11 MUSEAの体験型商業空間と重なる「ゼロブレンダーラボ」
「SHIRO K11 Musea」では、店舗中央に「ゼロブレンダーラボ」を設けている。これは、SHIROの製品開発過程で生まれた香料や試作香料、ゆずやヨモギの蒸留水、アルコールなどを組み合わせ、自分だけのフレグランスミストをつくる体験型コンテンツである。開業後2日間で241名が体験した。
この仕掛けは、K11 MUSEAという出店地とも相性がよい。K11 MUSEAは香港・尖沙咀のVictoria Docksideに位置し、リテール、アート、カルチャー、エンターテインメント、飲食を一体化した体験型の商業施設として打ち出されている。公式サイトでも、創造性、文化、革新性を軸にした「Cultural-Retail destination」と位置づけている。
つまり、SHIROは香港1号店を、単なる販売拠点としてではなく、施設の性格に合わせた体験拠点として設計している。K11 MUSEAに来る客は、商品を買うだけでなく、空間や文化体験を含めて施設を楽しむ傾向が強い。その中で「ゼロブレンダーラボ」は、SHIROのものづくりを来店者自身が体験する装置として機能する。
「買う店」から「ブランドを体験する店」へ
SHIROは、北海道・砂川の「みんなの工場」をはじめ、ものづくりの背景や廃棄物ゼロを目指す取り組みをブランド価値の一部として発信してきた。今回のゼロブレンダーラボも、製品化に至らなかった香料や試作香料を活用する点で、同社が掲げる資源活用の考え方とつながっている。
その意味で、香港1号店は「海外に商品を売る店」というより、SHIROの思想を現地の商業空間に翻訳する店舗といえる。香港限定の香りで地域文化に接続し、ゼロブレンダーラボでブランドのものづくりを体験化し、K11 MUSEAの文化型商業施設としての性格に合わせて来店理由をつくっている。
コスメやフレグランスの海外展開では、ブランドの認知拡大と販売網の確保が中心になりやすい。しかし、SHIRO K11 Museaの初動を見ると、現地限定商品、体験型コンテンツ、施設特性の3つを組み合わせることで、ブランドの世界観を一方的に持ち込むのではなく、現地の消費文化に合わせて再構成していることがわかる。
SHIROにとって香港は、ロンドン、台湾、韓国に続く海外実店舗展開の新たな市場となる。K11 MUSEAでの初動は、香港におけるブランド需要の強さを示すと同時に、体験型商業施設における日本発ブランドの入り方としても注目される。販売、限定商品、体験を一体で設計する今回の出店は、海外市場でブランドの深度を高めるための一つのモデルになりそうだ。以下、株式会社シロのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
SHIRO K11 Musea
住所:B112A, B1, K11 MUSEA, Victoria Dockside, 18 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong
営業時間:11:00~21:00
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