SCの将来を憂う
近年のRSC開発競争により地域によってはRSCのオーバーストア状態が生まれている。
同質化によって勝者なし、テナント各社にとっては厳しい状況が生まれている。SC先進国の米国の近年の状況を見るまでもなく空き区画が増加して行くだろうこと、SCが弱体化する事は想像に難くない。
そんな中で大手アパレル企業の社長が、はっきりと「商圏の重なるRSCへ出店は断固断る。今までのような『お付き合い出店』はしない。」と明言されていました。これを聞いたら大手デベロッパーは頭を抱えるでしょう。さらに続けて「これからのSCの競争力はESだ」とも。
今話題になっている従業員休憩室の整備、専用のCVS開設などのハード的なお話だけではなく、営業時間の短縮、休業日の設定、年始休業(正月三が日休業)など売上に直接影響が出るだろう施策まで踏み込んでいるのです。これには「販売員」という仕事に誇りを持てるようにしなければ就業希望者も減り、このままeコマースやられてしまうというSC業界全体が危ないという危機感が現れています。店舗での人材確保が非常に難しくなっているという事が大きいのでしょう。
今後、この視点でも、付き合ってゆくデベロッパーを評価し、出店するSCを選別してゆくとのことでした。
人材が集まらないという事は、企業の衰退を意味する。今の状況は、一企業にとどまらず流通小売業界の衰退を心配せずにはいられない。
社長の訴えを受けて、某不動産系デベロッパーは理解を示したそうだが、某リテイル系デベロッパーは黙殺する雰囲気だったそうな・・・