“推し活の聖地”池袋に初出店──TOWER RECORDS CAFE、エンタメカフェの戦略的拠点に
タワーレコードが展開するコラボレーション型カフェ「TOWER RECORDS CAFE」の新店舗が、2025年8月30日、東京・池袋にオープンする。渋谷・表参道・名古屋・大阪・福岡に続く7店舗目であり、都内では渋谷・表参道に次ぐ3店舗目となる。今回の池袋店は、東口から徒歩約4分の立地に36席を設ける中型規模。タワーレコードとしては、池袋エリアで初の飲食業態出店となる。
注目すべきは、出店地が“推し活の聖地”とされる池袋東口エリアである点だ。アニメイト池袋本店を中心とする乙女ロード周辺には、アニメ・マンガ・ゲームコンテンツを軸とした多様な店舗が集積し、年間を通じてイベントや展示が行われている。とくにアニメイトカフェやTHEキャラCAFÉといった既存のコラボカフェが女性ファンを中心に高い稼働を維持しており、このエリアに新たに参入するTOWER RECORDS CAFEは、その競合構造に一石を投じる存在となる。
同カフェでは、音楽アーティストにとどまらず、アニメやゲーム、YouTuber、キャラクターなどとの多様なコラボレーションを予定しており、店舗空間全体で作品世界を体感できるよう演出される。タワーレコードが保有する音楽アーカイブやグッズ制作のノウハウを活かし、限定メニューや展示、物販といったエンタメ要素を融合させた施策が展開される見通しである。また、既存6店舗との合同施策や全国同時企画など、他店舗との連動も視野に入れており、首都圏以外の顧客層を巻き込んだキャンペーン展開にも期待がかかる。
今回の池袋店は、単なる新規出店という意味にとどまらない。かつて世界中に展開していたタワーレコードは、2006年にアメリカ本社が経営破綻。その後、日本法人は買収により独立経営となり、いまやアメリカには存在しない“タワレコ”ブランドが、日本国内で独自に進化し続けている。その象徴ともいえるのが、コラボカフェ事業やライブ・ポップアップ連動施策といった「体験重視」への大胆な転換である。池袋店の出店は、まさにその路線を明確に裏付けるものといえる。
池袋には近年、VTuber・YouTuberとコラボする新業態のコンセプトカフェも進出しており、体験型飲食業態の多様化が進んでいる。TOWER RECORDS CAFEは、そうした市場環境の中で、“音楽とコンテンツの融合”を軸とした独自路線を構築する構えだ。今後はイベント施設の多いサンシャインシティやHAREZA池袋との連携、アニメイトなど近隣施設との回遊性も含め、地域全体での相乗効果が期待される。
物販だけでなく、体験や共感を軸としたエンターテインメント型消費への対応が進むなか、タワーレコードが選んだ池袋出店は、もはや“音楽ソフトの販売拠点”とは異なる、まったく新しい都市型エンタメ戦略の一環として位置づけられる。
以下、タワーレコード株式会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■TOWER RECORDS CAFE新店概要
店名:TOWER RECORDS CAFE 池袋店
営業時間:10:30~22:00 ※イベント開催時は変更となる場合があります。
休業日:不定休
住所:〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-22-1 第三高村ビル1階
店舗面積:27.3坪
席数:36席
オープン:2025年8月30日(土)