地域密着型商業施設が主流に
コロナ禍の中、オリンピックが商業的には不発に終わった2021年。ハレとケでいうとハレが不発で終わり2020東京オリンピックに投資をしてきた商業不動産業界には陰鬱とした空気が漂っているかに見えた2021年夏でしたが、2021年秋に向けて各地で地域密着型商業施設が開業を予定しています。いつまでも過去のことを引きずっても仕方ないので、思い切った損切りをして方向転換を行う潔さというのが次に繋がる時期になっているんだんと思わされます。
今回ご紹介するヒューリック株式会社はイトーヨーカドー川崎店、福島店、鶴見店を取得しており、今回鶴見店の大規模リニューアルを実施し2021年9月23日にオープンとのこと。イトーヨーカドー鶴見店という施設名称からLICOPA鶴見と名称を変更しての再出発になるとのこと。Life Community Park ”地域住民の拠点としてまちの公園のようなコミュニテイの中心となるという意味を込めた3単語”の頭文字をとってLICOPAという名称。同社は今後これをシリーズ化して、先に取得している川崎店と福島店も同様に名称変更、リニューアルをすることも想定しているとのこと。
さて、MDなのですがデイリー商品の核はイトーヨーカドーとなり、サービスの核が医療モール。飲食の核はくら寿司という具合になるのかと思います。個人的に気になるのが無印良品。無印良品は鶴見駅にも川崎駅にも出店しているのでオーバーワーク気味になるのではないかと思いました。同時にダイソーが出店するということですが、横浜ナンバーワンの売り場面積のダイソーが隣の施設にありますのでそちらのダイソーは今後退室してしまうと隣の商業施設に相当な空き区画が生まれてしまうなあと思っていました。あと屋上にフットサルとBBQスペースができるとのこと。これまで活用しきれていなかったスペースを有効活用することでどうなっていくのか見ものです。
この施設の課題は33のテナントが中規模の商業施設なのに誘致していること。野村不動産ホールディングス株式会社の展開するSoCoLaシリーズは大型の専門店を数店舗いれておしまいとなるような規模の施設になると思うのですがそこを小さく割ることで賃料単価を引き上げて施設全体の価値向上に努めた結果なのかもしれませんが、このコロナ禍で各店舗の売り上げ次第では短い期間で退店、入れ替えというリーシングコストがかかることも想定されます。いちばん大切なのは地域の住民のニーズを充足しているかどうか?が鍵になるとは思いますが15号線沿いのドンキホーテ、鶴見駅前のシャル、数キロ先にはラゾーナ川崎を含める大規模商業地区を抱える鶴見でLICOPA鶴見がどう活躍していくのか?どう地域の住民に愛されるのかが課題になってくるかと思います。今後の動向に注目です。
以下、ヒューリック株式会社のプレスリリースより画像とテナントリストを引用。
医療モールイメージ
共用部イメージ
外観イメージ
開業時テナントリスト