ゴンチャは日本でまだ増えるのか 世界店舗網の約1割を占める日本市場とアトレ取手出店の意味
株式会社アトレが運営するアトレ取手に、台湾発のグローバルティーカフェ「ゴンチャ」が2026年5月7日にオープンする。出店場所はアトレ取手3階。取手市では初出店となる。アトレ取手はJR取手駅に直結する地上5階建ての駅ビルで、店舗面積は約7,648㎡、店舗数は41ショップ。今回の出店は、単なる人気ティーカフェの新規導入にとどまらない。ゴンチャが日本市場で200店舗を超える規模に達したいま、同ブランドが大都市中心部や話題性の高い商業施設だけでなく、郊外駅ビルの日常動線へさらに入り込んでいることを示す動きといえる。
ゴンチャは2006年に台湾・高雄市で1号店を開業し、2009年に香港へ海外初出店、2015年に日本1号店を原宿にオープンした。日本では2018年に大阪、名古屋、福岡へ進出し、2021年に国内100店舗、2025年には国内200店舗以上に到達している。公式情報では、世界で約30か国・2,000店舗以上を展開しているとされ、日本だけで世界店舗網の約1割を占める計算になる。日本は、ゴンチャにとって単なる進出先の一つではなく、すでに主要市場の一角になっている。
この数字は、かつてのタピオカブームとは違う局面を示している。2019年前後の日本では、タピオカミルクティーが若年層を中心に大きな話題となり、都市部には専門店が相次いで出店した。しかしブーム型の飲食業態は、流行が一巡すると急速に縮小することも少なくない。そのなかでゴンチャは、ブーム後に消えたブランドではなく、むしろ店舗数を積み上げてきた。現在のゴンチャは「タピオカの店」というより、ミルクティー、ストレートティー、フルーツティー、黒糖、ジェラッティーなどを組み合わせるカスタマイズ型のティーカフェとして、日常利用の選択肢に入り始めている。
背景にあるのは、台湾で定着している手搖飲文化である。台湾では、茶やミルク、果実、トッピング、甘さ、氷の量を選ぶドリンクスタンドが街中に広がり、日常的な飲料消費として成立している。台湾メディアなどでは、2024年末時点で台湾の手搖飲店が16,049店に達し、年間売上が567億台湾ドルを超えたと報じられている。台湾ではすでに「珍しい飲み物」ではなく、生活のなかに組み込まれた飲料業態であり、ゴンチャの日本展開も、その文化を日本の駅ビルや商業施設に合わせて翻訳してきた動きと見ることができる。
グローバル全体でも、ゴンチャは拡大フェーズにある。2024年末時点で2,162店舗、28市場に展開し、2032年までに1万店舗を目指すという報道もある。米国では2026年時点で240店超を展開するとの発表があり、英国でも大規模なフランチャイズ展開が報じられている。つまり、ゴンチャは日本だけで過密化しているというより、世界各地でティーカフェ業態を拡張している最中にある。ただし、日本で200店超という規模は、すでに「出店すれば目新しい」という段階を超えている。
アトレ取手への出店は、その次の段階をよく表している。取手駅の2024年度1日平均乗車人員は23,875人で、そのうち定期利用が17,190人、定期外利用が6,684人である。数字から見る限り、取手駅は観光目的の来街よりも、通勤・通学・生活利用が中心の駅といえる。アトレ取手3階にゴンチャが入ることは、広域集客型の話題店導入というより、駅を使う人の日常的な休憩、待ち合わせ、テイクアウト、買い回りの接点を増やす意味合いが強い。
アトレ取手は、駅ビルとして日常利用に寄った施設である。フロア構成上も、食品、カフェ、生活関連の利用と相性がよい。ゴンチャは、スターバックスのような滞在型カフェとは異なり、カスタマイズ性とテイクアウト性を持つ。長時間滞在の場というより、駅前で短時間に選び、持ち歩き、移動中や帰宅前に楽しむ用途に向いている。そのため、駅ビルのなかでは既存カフェと単純に競合するだけでなく、別の飲料需要を拾う役割を持てる。
一方で、日本でこれからもゴンチャが拡大してよいかといえば、無条件に肯定できる段階ではない。200店舗を超えたブランドは、すでに希少性では集客できない。都市部の大型商業施設では、ゴンチャが入ること自体のニュース性は弱まりつつある。今後は、どの施設に入るか、どの導線に置くか、既存のカフェ・フード・スイーツテナントとどう役割分担するかが問われる。出店余地は残っているが、単純な面展開ではなく、駅前生活圏、通学導線、若年層とファミリーが重なる郊外SC、フードコート周辺、シネコンやアミューズメントとの接続など、利用シーンを具体化できる場所でなければ効果は出にくい。
その点で、アトレ取手は分かりやすい。取手市初出店という新規性があり、駅直結の生活導線があり、通勤・通学利用の厚みもある。大都市の繁華街でブランドの存在感を見せる出店ではなく、日常的な駅利用者に向けて、台湾茶を“特別な流行”から“普段の選択肢”へ落とし込む出店である。ここに今回のニュースの意味がある。
ゴンチャは、日本でまだ増える可能性がある。ただし、その余地は「台湾茶ブームの再燃」ではなく、日常利用の飲料業態として駅ビルや生活型商業施設にどこまで自然に入り込めるかにかかっている。アトレ取手店は、世界店舗網の約1割を占めるまで拡大した日本市場で、ゴンチャが次に向かう場所が“大都市の流行地”ではなく“郊外駅前の日常”であることを示す出店といえる。以下、株式会社アトレのプレスリリースから画像を引用。
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