BEAMS JAPANが「旅の動線」に店を置く理由──祇園の常設化、盛岡と品川の“ゲート”で何を試すのか
ビームスは「BEAMS JAPAN」10周年の節目に合わせ、2026年3月に京都・祇園で常設店「ビームス ジャパン 祇園」を開業し、同月に盛岡と品川駅でも期間限定のポップアップストアを展開する。祇園は2026年3月7日開業で、八坂神社目前の四条通に面する漢字ミュージアム1階に出店し、運営は京都の株式会社iinaが担う。
この一連の動きの要点は、「日本の良さを編集して並べる」こと以上に、売場の置き方を“旅と移動”に寄せている点にある。盛岡は、国の重要文化財でもある岩手銀行赤レンガ館(旧本店本館)の1階多目的ホールに、2026年3月14日から5月31日までの期間限定で出店する。品川はJR東海品川駅の新幹線改札内に、わずか2.5坪のキヨスク跡地を使い、2026年3月19日から5月31日までの期間限定で出店する。どちらも「通過・目的来館」の時間軸で買い物が成立する場所であり、日常の生活導線に寄せた店舗設計とは発想が異なる。
マーチャンダイジングも、その前提に揃えている。祇園では、京丸うちわ、丸下駄、扇子、数寄屋袋、ちりめん巾着、祇園祭モチーフのコースターや風呂敷といった、地域の文脈が説明しやすく持ち帰りやすい品を、祇園の事業者と共同企画した「店舗限定商品」として前面に置く。同時に、BEAMS JAPAN GIONロゴのTシャツやランチトート、ポーチ、マグネット、通行手形、木刀(小)など、買った場所が一目で伝わる“記号”としてのオリジナルも用意する。ここでロゴは「日常の定番」よりも「旅の記憶・贈り物・話題化」を短時間で成立させる装置として機能する。
品川の売場はさらに分かりやすい。支払はキャッシュレスのみ、取扱は約125アイテムに絞り、旅に役立つ小物や縁起物まで含めた“迷わせない棚”で土産需要を取りにいく。さらに限定品として、東海道新幹線N700系を中心に縁起物モチーフを添えたデザインを、Tシャツ・トート・てぬぐいなどに落とし込む。ここは「比較検討して買う」より、「見て即決できる」ことが成果に直結する環境であり、商品そのものより“買う理由の提示”がMDの核になる。
盛岡は、文化資産の文脈に“編集型物販”を接続する試みだ。岩手銀行赤レンガ館という建築・観光コンテンツに対し、商業施設「monaka(モナカ)」運営の株式会社モナカ、manordaいわて株式会社と組み、岩手・盛岡の文化と魅力を発信する拠点として位置づける。盛岡はニューヨーク・タイムズの「2023年に行くべき52か所」で2位に選出されたことにも触れられており、国内外の来訪増を背景に、“土地の物語を持ち帰る買い物”へ転換する狙いが見える。
このモデルは、BEAMSだけの独創ではなく、同様の“旅の玄関口で編集型の日本の銘品を売る”事業が既に成立している。例えば中川政七商店は、空港を旅の玄関口と捉え、旅の前後に役立つ品や地域の土産、暮らしの道具を同じ売場で提案する「分店 旅」を展開している。ここでは、移動と短時間購買に合わせた売場設計(スーツケースを置ける専用スペース等)まで含め、旅客の行動に寄り添う店舗づくりを明確に打ち出している。BEAMS JAPANの“ゲートストア”は、これと同じ市場(旅客購買)を狙いながら、ファッションとカルチャーの編集を強く混ぜ、観光地・文化資産・駅改札内という異なる導線に同一思想を当てはめている点に特色がある。
さらにビームスは、2026年4月から2027年2月にかけて全国10都市のビームス店舗を巡回する「BEAMS JAPAN POP UP TOUR」も告知している。常設の拠点(祇園)で象徴性を固めつつ、期間限定を多点で回し、地域の銘品とオリジナルを“全国に運ぶ”ことで接点を増やす設計だ。今後の評価軸は、祇園の常設が観光地の単発購買だけで終わらず、再来店や指名買いの理由を積み上げられるか。品川の極小売場で「短時間でも買われる棚」を型化し、駅ナカで横展開できる再現性を示せるか。盛岡で地域側の文脈とBEAMSの編集が噛み合い、土産の枠を超えた“目的買い”を作れるか。これらが揃ったとき、BEAMS JAPANの出店は「店を増やす」ではなく、「旅の動線に置ける店の型を増やす」戦略として輪郭が一段濃くなる。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店名 ビームス ジャパン 祇園BEAMS JAPAN GION オープン日 2026年3月7日(土) 所在地 京都府京都市東山区祇園町南側551番地(漢字ミュージアム1F) 電話番号 075-335-9357 営業時間 10:00〜20:00 定休日 不定休 URL https://www.beams.co.jp/shop/jgo/
店名 ビームス ジャパン 盛岡 ポップアップストアBEAMS JAPAN MORIOKA POP UP STORE オープン日 2026年3月14日(土)オープン / 5月31日(日)終了予定 所在地 岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目2-20岩手銀行赤レンガ館 1階多目的ホール(大) 電話番号 070-3300-7152 営業時間 10:00〜16:30 定休日 毎週火曜日 URL https://www.beams.co.jp/shop/jmo/
店名 ビームス ジャパン 品川駅 ポップアップストアBEAMS JAPAN SHINAGAWA STATION POP UP STORE オープン日 2026年3月19日(木)オープン / 5月31日(日)終了予定 所在地 東京都港区港南二丁目1番78号 JR東海品川駅構内 電話番号 080-4831-0269 営業時間 10:00〜20:00 定休日 不定休 URL https://www.beams.co.jp/shop/jss/







