施設と店舗の共存共栄を形にする仕事
先般、某GMSのフロアリニューアルにあたってテナントリーシングの依頼を受けた。メインフロアのアパレルやバラエティショップなどのいわゆる物販店をメインフロアから減らし(上層階に移動もしくは退店)大きな空間を作りそこに「食」をテーマにした食物販・ファストフード・産直野菜などのテナント群を入れ込み集客を増やすというプランだ。
各ブロック長や店長の「このまま物販店をメインに考えていたら前年比どころか店の存続に係ります。なんとかしてください!」と悲鳴を上げての懇願にやっと本部が投資をし、リニューアルに動き出したのだろう。
実のところ既存の物販店にしたら良いタイミングで移動・退店の話が施設側からあったと喜んでいるところもあるのだ。それぐらい物が売れない現実がある。まぁ、ここまでのフロアMD変更は時流というか消費者動向的に理解はできる。
問題はリーシング業務に係る「食」をテーマにしたテナントをどういう条件で誘致していくかである。食物販系テナントはそもそも店舗面積が3坪ぐらいから大きくて10坪程度であり、アパレルやその他物販の半分にも満たない。誘致しなければならない区画が倍以上に増えることになる。
リニューアル前にもいくつかの食物販系のテナントは出店しているので業態のバッティングも少なからずとも発生してしまうだろう。経済条件(賃料等)も決して安いわけでもなく営業時間などの縛りもあり誘致にあたってクリアにしなければならない問題は山積みである。ただ単に物販店が不調だから食のテーマに変えて集客を狙うという発想ではなくテナントを迎え入れる土台(経済条件・営業環境)をしっかり議論し施設側とテナントが共存しフルパワーでお客様に対応していける施設環境を作るべきである。
物販から食系へのフロアMD変更時は特に設備面しかり営業時間しかり契約条件しかり区画面積しかり様々な面で大規模な変更が余儀なくされる。これらを徹底的にテナント側にヒアリングし、テナントがどうやれば出店しやすいのか?持続的に営業を続けることができるのか?など調査し、それらを盛り込んでMD変更はなされるべきである。
我々はそういった業務を含め施設と店舗の間に立ち、双方が共存し成長できる環境づくりをサポートしております。今回もそういう心構えでフロアリニューアルに望みます。