岐阜城下に誕生する「岐阜城楽市」—歴史と食文化が交差する新たな商業施設
名古屋鉄道株式会社は、2025年4月26日に開業する商業施設「岐阜城楽市(ぎふじょうらくいち)」の詳細を発表した。岐阜公園内に位置し、観光客と地域住民がともに楽しめる新たなにぎわいの拠点として誕生する。本施設は、歴史ある岐阜城のふもとに広がる岐阜公園を舞台に、「『岐阜』を嗜み、OMOTENASHI(おもてなし)を堪能する」をコンセプトに開発された。官民連携事業「岐阜公園Park-PFI」の一環として進められ、観光と地域活性化を目的に岐阜ならではの魅力を発信する。
本施設には、木造平屋建ての建物7棟が整備され、地元の食文化を生かした飲食店や、岐阜の伝統を感じられるショップなど計11店舗が出店。観光地としての魅力と、日常の賑わいを生み出す商業空間の両立を目指している。長良川の風を感じながら、歴史と食が交差する特別なひとときを提供する。
歴史と食が融合する、個性豊かな店舗ラインナップ
「岐阜城楽市」には、岐阜ならではの食材や伝統を生かした特色ある店舗が揃う。注目の飲食店のひとつ「四季彩うどん 華きんとん」では、自家製麺のうどんと出汁の効いたおこわ、色鮮やかなお惣菜を楽しめる。店内は岐阜県産の提灯を飾り、長良川をモチーフにしたボックス席を用意するなど、地域の風情を感じさせる演出が施される。
コーヒー好きには「井ノ口珈琲焙煎所」がおすすめだ。岐阜の旧地名「井ノ口」から名を取った同店は、地元産の食材を使用し、岐阜県産材のトチの木を使ったカウンターやテーブルを配置。味わいだけでなく、空間デザインからも岐阜らしさを体感できる。
また、愛知・岐阜・三重の三県のご当地グルメが味わえる「愛岐三食堂」では、岐阜名物の「奥美濃古地鶏のケイちゃん丼」、愛知の「きしめん」、三重の「釜揚げしらす丼」など、地域の味覚を存分に楽しめる。加えて、飛騨牛の握り寿司や牛串を提供する「肉工房 美乃家」、囲炉裏で焼き上げる干物や土窯炊きのご飯が楽しめる「城下町カフェ 魚久」など、食を通じて地域の魅力を発信する店舗が揃う。
さらに、岐阜の縁起菓子「起き上り最中」を販売する「起き上り本舗」や、老舗養蜂問屋が手がける「はちみつ専門店 秋田屋」、岐阜ならではの”カワイイ”お土産を揃えた「ぎふ おりんぴ庵」など、観光客に向けたショップも充実している。
岐阜公園と岐阜城の歴史が生む特別な体験
岐阜城楽市が立地する岐阜公園は、戦国時代に織田信長が天下統一の拠点とした歴史的な地。信長が「稲葉山城」から「岐阜城」に改名し、新たな時代の幕開けを告げた場所でもある。現在も、岐阜城へと続くロープウェーや信長公居館跡、長良川の鵜飼など、歴史と自然を楽しめる観光地として多くの人々を魅了している。
近年、地域の歴史を生かした商業施設の開発が各地で進んでおり、金沢のひがし茶屋街や倉敷美観地区などが成功例として挙げられる。岐阜城楽市も、歴史を体験できる新たな商業施設として、観光客の回遊性を高める役割を果たすことが期待される。
官民連携で進める岐阜公園の新たな賑わい創出
岐阜城楽市は、岐阜市と民間企業が連携し、公園の価値向上を図る「岐阜公園Park-PFI」事業の一環として整備された。近年、歴史的景観を活かしつつ観光拠点としての機能を強化する取り組みが全国で進められており、岐阜市もこの流れに乗って公園の再整備を推進している。
観光地における商業施設は、単なる土産店の集合体ではなく、地域文化を体験できる場としての役割が求められるようになっている。岐阜城楽市では、飲食やショッピングにとどまらず、テラス席やレストスペースを活用し、岐阜の四季を楽しみながらゆったりと過ごせる空間を提供する。
また、インバウンド観光客の増加に対応するため、英語・中国語対応のメニューや、多言語での案内表示の設置など、訪日客が快適に過ごせる環境づくりも進められている。観光と地域文化の発信拠点として、国内外からの来訪者を迎える準備が整っている。
岐阜の新たなランドマークへ
「岐阜城楽市」の開業まで残り約1カ月半。歴史的なロケーションの中で、食と文化を存分に楽しめるこの施設は、観光客だけでなく地域住民にとっても魅力的なスポットとなるだろう。信長ゆかりの岐阜公園に、新たな賑わいの場を生み出すこのプロジェクトが、岐阜の観光と地域活性化にどのような影響をもたらすのか、今後の動向に注目が集まる。
以下、名古屋鉄道株式会社のプレスリリースから施設概要と画像を引用。
【施設概要】
所在地:岐阜県岐阜市大宮町1丁目他
構造規模:木造平屋建 7棟
店舗面積:約760㎡
用途:商業施設(7棟合計11店舗)
着工:2024年9月
開業:2025年4月26日