環境に関するメーカーの宿命
あるメーカー会社の株主総会でこんな一幕がありました。株主が質疑で環境問題に対して何か対策を講じているか?とオーナー兼代表に質問したところ、代表は一瞬とまり、重たそうに「うちがものを作るのをやめるのが一番なんでしょうねえ」と言葉を発しました。どんなメーカーも同様のことが言えるのが環境問題。メーカーという言葉が表しているように、ものを作るからmakerなわけで、ものを作ることで環境に負荷をかけてしまうという事実は変わりないわけです。では商業施設の中ではどうか?テナントの中でSPA型で商品製造をしている会社も少なくありません。ものをつくり、それを販売するということは環境に負荷をかけ続けていることになります。
どんなに美辞麗句を並べて環境にやさしい店舗をものをつくります。と言ったところで、ものを作り続けていることで環境に対する負荷をかけているという宿命からは逃れられないわけなのです。でも、この宿命に対して少しでも良い未来を、良い環境を、よい社会を作ろうと努力している会社もあります。今回のニュースは株式会社アダストリアのグループ会社、株式会社アドアーリンクの取り組みです。同社はアパレル業界で循環型経済を具現化するために設立された会社。その取組はエッジがあります。今回は同社が水戸のイオンタウン水戸南に顧客参加型の新業態オフストアを新規開店するというニュース。
オフストアはアップサイクルブランドの販売、シェアリングエコノミーサービスの提供と店内でお客様が参加するアパレルのワークショップの実施、お客様からの古着回収、お客様の洋服お直しなど顧客が参加できる余地がある店舗になるとのこと。一方的に環境にやさしい何かを提供し続ける薬臭い従来の環境にやさしい店舗とは一線を画する新しい業態となる。店内内装も居抜きで什器を再利用した簡素でエコな出店になるとのこと。
常設のシェアリングエコノミーサービスのキッズローブは子育て世代にたまらないサービス。すぐにサイズアウトしてしまう子供服をユーザー同士共有しながら使い続けることができるサービス。もう一つのアップサイクルブラン、フロムストックは黒染めをうまくつかい、傷や汚れのある商品を染め直して新しい商品として販売するという試み。この2つのサービスはWEBサービスも展開しており注目が集まっている。
すこしでも社会に爪痕を残そうとする姿勢、ユーザーを巻き込み、ユーザーにも考える、参加する余地がある取り組みはあたらしい。環境系のCSR色の強い業態の課題はどんな状況下になってもやめないこと。株式会社アダストリアの環境に対する気概と株式会社アドアーリンクのメンバーの根性と高邁なビジョンが試される事業となる。心から続けていただきたいと思うし、ユーザーから支持をされる店舗となってほしいと思う。以下、株式会社アダストリアのプレスリリースより店舗概要と画像を引用。
オープン日 2022年2月25日(金)店名 OFF STORE (オフストア)店舗所在地 イオンタウン水戸南店茨城県茨城町長岡3480ー101店舗面積 120坪営業時間 10:00~21:00キッズローブ https://kidsrobe.jpフロムストック