有隣堂の新業態2店舗目が上野に誕生
アマゾンが1994年に創業し来年で30年になります。アマゾン前とアマゾン後では世の中の商業のあり方は一変してしまったといっても過言ではないほどインターネット技術をフルに活かした事業展開をアマゾンは行っています。書籍販売一つとってもオーディオブックやデジタルブックの販売も日に日に拡大していっている状況。それに反比例して街の書店は日々縮小していっている状況ですが世界的にムーブメントが巻き起こっています。
アメリカのシアトルに拠点を置く「Elliott Bay Book Company」は、地元の文学コミュニティに密接に関与し、著者による読書会やイベントを頻繁に開催することで成功していますし、ポートランドにある「Powell’s City of Books」は、世界最大級の独立系書店として有名で、中古書籍と新刊書籍の取り扱いや、独自のオンライン販売チャネルを展開しています。イギリス、ロンドンにある「Daunt Books」は、店内の美しいインテリアと、国や地域ごとに整理された書籍のディスプレイで知られ、観光客にも人気の書店。キーワードは独立系書店。
独立系書店とは大手チェーンや企業グループに属さない、個人経営者や小規模な経営団体が運営する書店のことを指します。これらの書店は、個々の経営スタイルや商品の取り扱い、サービス内容が異なり、地域性や独自の品揃えが特徴。独立系書店は、地元コミュニティに密着し、顧客との距離が近いことから、個別のニーズに対応しやすく、特色ある品揃えやイベント開催が可能。また、独立系書店は、大手チェーンとは異なるセレクションや雰囲気を提供することで、独自の魅力を持ち、顧客に愛されています。
日本国内でも独立系書店と呼ばれる店舗は日に日に増加していっています。2021年の一年で78店の独立系書店が開業したとのこと。他方で大手チェーンも独自の方法で新たな価値創造を続けている。株式会社有隣堂は2020年10月に横浜みなとみらい桜木町駅至近のコレットマーレみなとみらい5Fに書店×雑貨×カフェの店舗「STORY STORY YOKOHAMA」を出店。書籍・雑誌売場に加え、文具・雑貨売場、イベントスペースも兼ねたカフェを併設する店舗として新たな価値創造を目指しての新規事業をスタートさせた。
そして今年4月27日上野マルイ地下1FにSTORY STORY UENOをオープン。ブランドコンセプトは以下。
「日々の暮らしを紡ぐ2つの物語」例えば「夢」と「現実」、例えば「あなた」と「私」、「過去」と「未来」のように、私たちは日常生活を営む時、つねに2つの物語を同時進行させています。このような日々の暮らしの中にある2つの物語が交わることで、人生がより深く豊かなものになっていくと考えています。
お客様が今まで積み重ねてきた物語と、書籍や雑貨が持つ物語とが出会うことで、お客様だけの新しい物語が生まれる場所でありたい、という思いのもとに生まれたブランドです。
店舗のコンセプトは以下。
書籍と雑貨、ワークショップを通じて、お客様が「昨日」より楽しいと感じていただける店舗を目指します。約6万冊を取り揃えた書籍売場では例えば、料理本とともにそのレシピを考案した著者の考え方や人生を伺い知ることができる著作も併売するなど、人や物、事象の裏側に隠されたもう一つの物語を知るきっかけになる売場づくりを行います。また、雑貨売場では、素材や製法、産地にこだわった商品を中心に、作り手の思いや背景が感じられる雑貨や食品を取り揃えます。さらに、複数セレクトショップの展開や期間限定のポップアップショップのほか、手軽にアート作品作りが体験できるワークショップを毎日実施予定です。
独立系書店が増加しニーズが細やかになりつつある現在大型書店ができることを形にした新規事業とも言えると思います。今後の展開に注目です。以下、株式会社有隣堂のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■店舗概要
名称 :STORY STORY UENO
開店日 :2023年4月27日(木)
住所 :東京都台東区上野6-15-1 上野マルイ 地下1階
最寄り駅 :JR 宇都宮線・東北本線・上野東京ライン・山手線・
京浜東北線 上野駅
東京メトロ 銀座線・日比谷線 上野駅
店舗面積:166.4坪(550.1㎡)
取扱品目:書籍・文具・雑貨・食品
営業時間:11:00~20:00