モノよりコトが顕著になった年末商戦
昨年末12月の販売統計調査報告が発表されました。昨年同期比で11月は多少のプラスに転じていましたが、12月は微減になっています。売上不振の理由をSC協会では天候不良を一つの要因にしていました。しかしながら、アマゾン・楽天・ヤフーショッピングなどのネットショッピングの売上総和はおそらく昨年同期比を超えているように思えますのでネット通販に衣料品販売などは売上を吸い取れているのではないかとも居ます。
今回注目したいのはキーテナントをGMSに設定している場合の売上が不振だということです。GMSの売上が減少しているということはどういうことでしょうか?GMS+何かのキーテナント2つの場合でも売上が減少しています。GMSという業態自体の役目が終わりを迎えつつ有るのかもしれません。必要なものは専門店で購入していくというのが主流になりつつあるのか、ネットで購入しているのかは不明ですがGMSで衣料、生活雑貨、生鮮産品が売れていないことは明白になりつつあります。商業施設は今後はGMSをキーにそえるのではなく、専門大店をいれることでMDを強化していく流れがつよくなるのかもしれません。
GMSが不調だった反面で売上を伸ばしたのが百貨店MDでした。年末ということもあり特別なプレゼントやギフトの購入場所として百貨店は今も昔も安定した強さを見せます。百貨店MDを商業施設に取り入れるもしくは、百貨店が専門店を擁する形の商業施設は今後も強い競争力が維持できるのかもしれません。
全体的なトレンドとしては物販よりも飲食が伸びた傾向が顕著にあらわれました。来店はしているけど、飲食に来ている。ものは買わないけど、時間消費をしていっていることが読めます。ものより何かコトをするために商業施設に足を運ぶユーザーが増えている傾向が日々つよくなりつつあります。サービスと飲食そしてその他の体験型MDをうまく活用して商業施設全体の価値創造をしましょう。
以下、一般社団法人日本ショッピングセンター協会のプレスリリースより抜粋
SC販売統計調査報告 2016年12月
既存SC前年同月比 : ▲0.1%
冬物衣料が苦戦するも飲食が健闘全体概況
12月のSC販売額は天候不順や暖冬の影響もあったが、飲食やサービスが好調で前年同月比微減の▲0.1%となった。
10月以降、改善の傾向がみられていた婦人衣料は、暖冬の影響で、重衣料、ブーツなどの冬物のアイテムが不振で年末商戦を補うことができなかった。テナントは+0.6%と前年を上回ったが、GMSをはじめとするキーテナントの販売が不振で▲2.5%となった。
立地別(表1)では、中心地域は全体で+0.5%と前年を上回ったが、大都市が+1.2%、中都市で▲0.8%と都市規模で格差がみられた。周辺地域ではテナントが+0.6%と前年を上回ったものの、キーテナントが▲3.0%となり全体で▲0.4%となった。
地域別(表2)では、東北(+3.3%)、近畿(+0.3%)、九州・沖縄(+3.7%)の3地域が前年を上回ったが、それ以外の6地域で前年を下回った。特に記録的な大雪の影響を受けた北海道は▲1.8%となった。
都市規模別・地域別(表3)では東京区部や政令指定都市などの大都市(+0.7%)とそれ以外の都市(▲0.7%)とで差がみられた。
全体の不振要因としては、前述したように天候不順や暖冬の影響が挙げられるが、特に暖冬による婦人・紳士アパレルの売上不振をあげるSCが多くみられた。トピックス
12月度は、婦人衣料が苦戦したにも関わらず前年同月比▲0.1%であった。
また、今年のクリスマスは3連休と重なったため、駅ビルでは通勤帰りの会社員の来客が少なく昨年比で大幅にマイナスとなったとの声もきかれたが、全体としては好調な業種として飲食をあげたSCが比較的多くみられ、衣料品の販売が厳しい中でも健闘がみられた。