ららぽーと名古屋みなとアクルス、開業後初のリニューアルで再始動 エンタメと体験の融合型モールへ進化
名古屋港エリアの中核商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」が、開業以来初となる大規模リニューアルを実施した。2018年の開業から約6年、スマートシティ構想を掲げた再開発エリア「みなとアクルス」の象徴施設として、生活利便型に加え“体験”を軸とした集客力の再構築に着手した格好だ。2025年4月24日から5月6日にかけて、多彩なイベントとともに段階的な新店舗オープンが進む。
今回の改装で目を引くのは、エンターテインメント性の強化とファミリー層への滞在価値の最大化である。全国で話題を呼んだ「うんこミュージアム」が愛知県初進出として常設展開され、単なる“話題性”を超えて、SNSを中心にした拡散型集客を担う。さらに、都心を中心に人気を集める濃厚豚骨魚介つけ麺の「つじ田」や、リラックス空間を提供する「猫カフェMOCHA」といった都市発のブランドも加わり、郊外モールにおける感度層の取り込みも視野に入れる。
地元の食文化との結節点として注目されるのが、坂角総本舖による新業態「BANKAKU FACTORY SHOP」である。店内で焼き上げた〈ゆかり〉を提供するライブ感は、観光的要素と日常消費の間にある“体験型食物販”として、地域との結びつきを強める役割を果たす。また、東海地区で唯一となるKFCビュッフェの再導入も、幅広い世代のニーズに対応する話題性の一角を担う。
施設構成としては、中心エリアの「センターコート」を再編。大型ビジョンと吹き抜けガラス面へのデジタルサイネージ設置により、施設全体がイベント対応型の演出空間へと変貌した。三井不動産が他のららぽーとでも進める“イベント起点型”のモール設計を象徴する事例といえる。
さらに、3Fフードコート「LaLa Kitchen」にはキッズゾーンが拡充され、木々に囲まれた公園のような意匠を取り入れた設計に刷新された。ベビーエリアや小上がり席を備えるなど、ファミリー層の滞在満足度を高める施策も講じられている。屋外では「みどりの大広場」に大型遊具を新設し、約8,000㎡の芝生広場が一層多世代に対応した空間へと進化した。
1F南東エリアには「みなとマルシェ」が新設され、名古屋の人気店や全国注目の食物販テナントが集積。食を通じた日常的な施設利用を促すと同時に、施設内の“日常と非日常”の体験を結び直すエリアとして期待される。
このリニューアルに合わせて、館内外では複数の大型イベントも実施される。「FRUITS ZIPPER」や「音市音座Extra」などライブイベントの開催は、エンタメ需要の取り込みを図るだけでなく、新設されたイベントスペース「デカゴン」活用の試金石ともなる。さらにゴールデンウィーク期間中には「トイ・ストーリー」と連動した体験イベントが展開され、施設回遊性の向上に寄与する。
三井不動産が掲げる“FUNからFANへ”の戦略のもと、ららぽーとブランド全体が“体験価値の最大化”へと舵を切るなかで、今回の名古屋みなとアクルスはその実験的性格を色濃く帯びる拠点といえる。単なる商業リニューアルにとどまらず、地域と施設、リアルとデジタル、物販と体験のクロス領域での競争力をどう磨くかが問われている。以下、施設概要と画像を引用。
三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス
所在地 :愛知県名古屋市港区港明二丁目3番2号
TEL :052-651-3400(代表) 受付時間10:00〜18:00
店舗数 :約206店舗
駐車台数:約3,000台
交通 :名古屋市営地下鉄名港線「港区役所駅」徒歩2分
営業時間:10:00~20:00(平日)、10:00~21:00(土日祝)