アピタテラス横浜綱島へ行ってみた
今、ドン・キホーテとの共同業態への既存店リニュアルで話題のユニー・ファミリーマートホールディングス、関東では大口、座間と神奈川の2店舗がダブルネーム「ドン・キホーテUNY」でオープンした。とりあえず客数は倍増、売上も好調に推移しているようだ。今までいなかった20代~30代の客層が多くみられるようになったと大きな変化に驚いている(ドン・キホーテ関係者以外)ようだ。
この話題が多くを占める中、静かに「アピタテラス横浜綱島」はオープンした。
元々の「アピタ日吉」の移転(パナソニック工場跡地との交換で移転となった)で生まれた「アピタテラス横浜綱島」だが、なかなか安産というわけにはいかなかった。㈱CCC(TSUTAYA)と共同出資でデベロッパー会社を設立し「T-SITE」的なものにしようと考えていたところが最後の段階になってこの話がご破算に。急きょユニー単独での開発となり大慌ての開業となった。
NSC(狭商圏ショッピングセンター)であるという覚悟を持って進めたという感じが強く伝わってくる。特に物販についてはアパレルテナントはゼロ!はるやま商事の「P.SFA」は出店しているが、これはアパレルというよりもスーツストアという表現が正しいと思う。生活雑貨、書籍、手芸クラフト、シューズ、バッグ、メガネに「ニトリexpress」。あとは生活必需のドラッグと100均のみ。思い切りました、この思い切りが必要だろう。カッコつけたい誘惑に負けずにほんとに頑張ったと思う。
物販に対してサービス業種は多種に充実している。SCレギュラーのクリーニング、リフォーム、美容系、スタジオ、アミューズメント、保健窓口、子供教室などはもちろん、クリニックは眼科、内科、婦人科、最近患者が増えているアレルギー科と4科、銀行、郵便局、学童保育に「生きがい就労支援スポット」、最先端のプログラミング教室に宅配便受け取り用ロッカーまで。この集積は素晴らしい。もともとサービス業種は決して広い商圏のものではない。NSCという考え方に合致する。
食品のテナントも、SC定番の「KALDIcoffeefarm」に「おなかすいた」を導入、青果を中心にこだわりの商品を提供している。最近のトレンドでもある「グローサラント」的なものは実施されていないが、通常よりも広いイートインスペースを設定し、「即食」可能な状態になっている。
ただ、この規模のSCにレストランは必要だろうか?それも「ディナープレート¥1800-」!?こんなものを注文する客がいると思っているのか?NSCですよ?完全なインショップですよ?2Fにあるフードコートでさえ5ブース(マクドナルド、はなまるうどん、リンガーハット、一刻魁堂(らーめん)、いきなりステーキ)も成立するのか心配になる。ユニーさん、ちゃんと指導してあげてください。
もう一つ、この程度の規模(15,000㎡ 2層)のSCでES(エスカレーター)は2基もいるだろうか?客の利便性を考えてそうしたとは思うが、逆に2つになったためにややこしくなり、フロアの回遊性まで損なってるのではないか?中心に一つあれば充分に感じる。ゾーニングもわかりやすくなり、コストも下がる。
全体としてはNSCを創るという強い意志を感じる、とても好感が持てるSCと言える。近所にあれば日々の買物は充分に満足できる。もともとユニー食品はいい物が安いから強い。近隣の方たちがうらやましい。
もっと早くからこのような強い意志、覚悟をもって取り組んでいればドン・キホーテに助けてもらうような事態にはならなかっただろう・・・
文責:㈱レクイエ太田仁