VOLCAN&APHRODITEがHEP FIVE 6Fへ移転 地雷・サブカル系がメインストリームに近づく今、どのファッションビルも同じブランドに頼る
「地雷系」「サブカル系」「Y2K」を軸にするセレクトショップ「VOLCAN&APHRODITE(ヴォルカンアンドアフロダイティ)」が2026年3月13日、HEP FIVE(大阪・梅田)での出店フロアを3Fから6Fへ移転し、リニューアルオープンした。運営は株式会社AYURA(大阪市、代表:髙木一也)。2016年10月、商業施設への初進出店舗としてHEP FIVE 3Fに出店してから10年目の節目となる。
移転先の6Fには、BACKSTAGE PASS、CONOMi、STAY GOLD、GRAPEFRUIT MOON、LOWECO by JAMといったブランドが並ぶ。この顔ぶれに見覚えのあるファッション施設の担当者は多いはずだ。BACKSTAGE PASSはラフォーレ原宿B1Fにも出店しており、VOLCANを含むこれらのブランドの複数がラフォーレ原宿とHEP FIVEを同時に選んでいる。渋谷109でもVOLCANは7Fに出店中だ。「地雷系・サブカル系フロアを作りたい」と考えた施設の担当者が参照する”確実なリスト”が、ブランドの出店先をほぼ規定している。独自性を打ち出したいファッションビルが、同じ顔のフロアに行き着く——その構造が、今のこのジャンルを覆っている。
なぜ施設はリスクを取れないのか。その背景には、市場そのものの変質がある。かつて地雷系・ゴスロリ・量産型はそれぞれ「どのジャンルか」という帰属意識の強い閉じたコミュニティで消費されていた。ゴスロリが19世紀のゴシック文化と少女服の様式美を重視するのに対し、地雷系は「病みかわいい」という現代的な内面の表現であり、両者はルーツも精神性も異なる別物だった。それが今や、「地雷系ゴスロリ」「甘辛MIX」「ロリータワンピ×地雷系シューズ」という複合スタイルが実際の着用者の言葉として当たり前になっている。ジャンルの境界が実用レベルで溶解し、間口が広がった結果、「サブカル系」という括りは以前より遥かに大きな市場を指すようになった。
同時に、コスプレの生活化が進んでいる。世界コスプレサミットの参加国・地域は2025年に42カ国と過去最高を更新し、大阪・日本橋ストリートフェスタは22万人規模のイベントに成長した。インバウンド向けコスプレ体験の商業化も各地で進んでいる。コスプレ衣装の世界市場は2025年に推計約28億米ドルとされ、2032年には約58億米ドルへの拡大が予測される。「特定コミュニティの自己表現」だったものが、「日本カルチャーの体験観光資産」として機能し始めている。VOLCANの公式通販が「渋谷109で人気」と「訪日客に人気(Tourist Favorite Item)」を並列で掲げているのは、その変化の端的な表れだ。サブカル系のブランドがインバウンドの「日本らしいもの」として成立し始めている。
つまり、市場は拡張している。にもかかわらず施設側が同じブランドに依存し続けるのは、市場が「大きくなりすぎた」からでもある。ジャンルが拡張・融合して裾野が広がるほど、「このフロアが地雷系として機能しているか」を検証する共通の尺度が失われ、実績のある既存ブランドへの依存が正当化されやすくなる。VOLCANの10年目は、そのサイクルの中で施設とブランドが互いの存在を前提に動き続けてきた結果でもある。
新店舗のコンセプトは「経年変化」。工事中に偶然現れた既存の床タイルの風合いをあえて活かした内装は、インパクト重視だった旧店舗から「洋服のデザイン性を引き立てる空間」へと舵を切った変化でもある。「変わらないために変わり続ける」という今回のテーマは、ジャンルの拡張と施設の均質化が同時に進む中でサブカル系ファッションが直面している問いそのものでもある。以下、株式会社AYURAのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗詳細
店舗名:VOLCAN&APHRODITE HEPFIVE店
新店オープン日:2026年3月13日(金)
新フロア:HEPFIVE 6階(旧:3階)
売り場面積:35坪
営業時間:11:00 〜 21:00
住所:大阪府大阪市北区角田町5-15 HEPFIVE 6F
電話番号:06-6366-3842







