VARZAR×SAMANTHAVEGAが「共同旗艦」を選んだ理由──オンライン主戦場からリアルへ──梅田エスト出店をどう読むか
韓国発ストリートブランド「VARZAR」と、サマンサタバサグループの若年層向けブランド「SAMANTHAVEGA」による日本初のコラボレーション店舗が、2026年2月、大阪・梅田エスト1階にオープンする。発表上は「日本初のコラボ旗艦店」という位置付けだが、この出店は単なる新店情報としてではなく、近年のEC発ブランドと商業施設の関係性を読み解く事例として捉える必要がある。
VARZARは、K-POPアーティストやインフルエンサーの着用をきっかけに、ECを主戦場として認知と支持を拡大してきた、いわゆるEC発のストリートブランドである。オンラインを中心にファンベースを形成してきた一方、日本市場においては、常設の実店舗を通じたブランド体験や接客による顧客理解の蓄積は十分とは言えなかった。対するSAMANTHAVEGAは、国内での店舗展開や人材育成、立地戦略といった実店舗運営のノウハウを持つ一方、ブランド鮮度の維持や新規顧客層への訴求が継続的な課題となっている。
今回の出店で注目すべきは、VARZARが日本市場で単独の旗艦店を構えるのではなく、SAMANTHAVEGAと組んだ「共同旗艦」という形式を採った点だ。ここで言う旗艦店とは、単に商品を販売する拠点ではなく、ブランドの世界観や方向性を集約し、今後の展開を占うための象徴的な実験拠点と位置付けられる。その意味で今回の店舗は、完成形というよりも、EC発ブランドが日本市場でリアルをどう実装していくかを検証するための“テストケース”としての性格が強い。
立地として選ばれた梅田エストも、この戦略を補強する要素だ。同施設は大阪・梅田エリアの中でも若年層の来街頻度が高く、トレンド感度の高い来館者が集まりやすい商業施設として知られている。1階区画は視認性と通行量に優れ、ブランド認知の拡張や衝動的な来店を狙いやすいゾーンである。商業施設運営の視点で見ると、今回の出店は売上貢献だけでなく、施設全体の鮮度を維持し、来館理由を更新するためのテナントとしての役割も担っている。
リーシングの観点から見ると、この事例は、EC発ブランドがリアル店舗を展開する際の一つの現実解を示している。単独出店ではなく、国内ブランドと組むことで、初期投資やオペレーション負荷を抑えながら市場反応を測ることができる点は、施設側・ブランド側の双方にとって合理的だ。一方で、この「共同旗艦」という形式が成功と評価されるかどうかは、初年度の売上よりも、その先にある展開にかかっている。ここから単独展開や多店舗化につながるのか、あるいは限定的な取り組みとして終わるのかが、このモデルの再現性を判断する基準となる。
アパレル業界全体で見れば、韓国ブランドの日本進出自体はすでに珍しい動きではなくなった。しかし、EC発ブランドが常設の共同旗艦店という形でリアルに踏み出す事例はまだ多くない。過去にはポップアップ止まりで終わったケースや、常設化したものの短期間で撤退した例もあり、リアル展開の難易度は依然として高い。そうした背景を踏まえると、今回の梅田エスト出店は、日本市場における慎重だが実装を伴う第一歩として、業界内でも検証対象となる可能性が高い。
VARZAR×SAMANTHAVEGAの取り組みは、コラボレーションの話題性以上に、EC発ブランドがリアルに出る際の選択肢を具体的に示す事例といえる。商業施設側にとっても、テナント側にとっても、この共同旗艦がどのような成果を生み、次の動きにつながるのかが、今後の注目点となりそうだ。
■店舗情報
VARZAR×SAMANTHAVEGA梅田エスト店
〒530-0017 大阪府 大阪市北区角田町 3-25 梅田エスト 1F
06-6374-3381
11:00~21:00 / (日曜日) 11:00~20:00
※月曜が祝日の場合は、日曜21:00閉店/月曜20:00閉店





