TOHOシネマズ大井町が3月28日開業へ “3路線結節の裏コミューター街”に、夜の滞在を組み立てる核が入る
TOHOシネマズ株式会社は2026年3月28日(土)、JR大井町駅直結の大型複合施設「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」内に、全8スクリーン・1,205席のシネマコンプレックス「TOHOシネマズ 大井町」を開業する。開業時点で全スクリーンのスペックや館内導線、オープニング施策までをまとめて提示しており、単なる“新館オープン”ではなく、街区側の開業タイミングに合わせて体験の選択肢を一気に立ち上げる計画であることが読み取れる。
本件を商業施設ニュースとして捉える際の要点は、映画館そのものよりも、大井町という街の性格にある。大井町駅はJR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線が接続し、都心・湾岸・副都心方面へ流動が分かれる結節点だ。目的地型の街というより、通勤・通学と日常の用事が重なる“裏コミューター的”な役割を担いやすい立地であり、そこで必要になるのは「わざわざ来る理由」以上に「降りて過ごす理由」を増やす設計である。今回の映画館は、その“夜の滞在”を担保する装置として、街区の構成の中に置かれたと見るのが自然だ。
劇場側の特徴は、鑑賞体験を階段状に選ばせる点にある。都内のTOHOシネマズとして初めてDolby Cinema(ドルビーシネマ)を導入し、加えて「プレミアムシアター」「轟音シアター」といった独自規格も備える。さらに、全8スクリーンのうち4スクリーンに、座席間の仕切りで半個室感をつくる「プレミアボックス シート」を導入するなど、同じ作品でも“体験の買い分け”が成立する構成だ。コミューター需要が厚い街でこの設計が効くのは、遠方からの一回利用よりも、平日夜や短時間滞在の繰り返しの中で、気分と予算に応じて選択肢を提示できるからである。
一方で、街区側の情報を合わせると、この映画館は単独の集客核というより「時間帯を延ばす」役割が明確になる。OIMACHI TRACKSは2026年3月28日にグランドオープンし、全81店舗のうち53店舗で開業限定の商品・メニュー等を展開するなど、立ち上がりで来街動機を束ねにいく構えを見せている。さらに同日開業として「ホテルメトロポリタン 大井町トラックス」も計画され、飲食(メインダイニング、ルーフトップバー)まで含めて“夜の過ごし方”を街区内で完結させやすい。映画鑑賞の前後に食事や一杯を組み合わせられる構造は、駅直結の利便性と相性がよい。
夜の滞在をより強くするピースとして、温浴・サウナの存在も見逃せない。PR発表では、同じくOIMACHI TRACKS内に「サウナメッツァ大井町トラックス」を2026年3月28日に開業予定としており、映画とサウナ、ホテル飲食を同一街区で束ねることで、平日夜の「短いリフレッシュ」を商品化しやすくなる。大井町のような結節点では、週末の一発勝負よりも、平日の稼働をどう取るかが街区全体の勝負になるため、この“夜の選択肢の束ね方”が施設側の投資意図を最も説明しやすい。
今後の注目点は、開業時の話題化よりも、平日夜の稼働が設計通りに積み上がるかにある。Dolby Cinemaや轟音シアターといった上位体験が、レイトタイムやリピート鑑賞で選ばれる比率、売店のモバイルオーダーや二次元コード入場などの導線がピーク時のストレスをどこまで下げられるか、そして非映画コンテンツ(ライブ等)を継続的に編成できるか。大井町の“通過”を“滞在”に変える装置として、この街区がどこまで日常利用に入り込めるかが、リーシング面でも次の評価軸になる。以下、TOHOシネマズ株式会社のプレスリリースから画像を引用。







