SIMCLEAR、糸島に初の旗艦店 D2Cブランドが選んだ「体感型」拠点の意味
福岡県糸島市発のバッグメーカー、SIMCLEARが2025年12月20日、同市内に初の旗艦店「SIMCLEAR FLAG」を開業する。築120年の古民家を改装した本店舗は、同社にとって初の常設リアル拠点となる。
SIMCLEARは2019年設立のD2Cブランドであり、これまで自社ECや応援購入サービスを中心に製品を展開してきた。通勤や出張といった日常の移動を前提に、機能性と合理性を重視したバッグ開発を行ってきた点が特徴である。一方で、オンライン中心の販売モデルでは、質感や重量、背負い心地といった要素を十分に伝えきれないという課題も抱えていた。
今回の旗艦店は、こうした背景を踏まえ、「売るための店舗」というよりも、ものづくりの考え方や使いやすさの理由を体感する場として位置づけられている。店内では実際に商品を手に取り、背負い、日常の使用シーンを想定しながら確認できる空間が用意される。写真や画面では伝わらない情報を補完する役割を担う拠点である。
出店地として糸島を選んだ点も象徴的である。自然と暮らしが近接する糸島は、効率や流行よりも納得感を重視する価値観と親和性が高い地域である。派手な演出ではなく、「変わらないものを選ぶ自由」という同社の思想を体現する場所として、自社の拠点地域に旗艦店を構える判断は、ブランドの成り立ちと整合している。
D2Cブランドを取り巻く環境では、顧客獲得コストの上昇や広告依存の課題を背景に、購入後の理解や継続利用をどう支えるかが重要になっている。SIMCLEAR FLAGは、こうした状況下で、リアルな接点を通じてブランド理解を深めるための拠点として機能する可能性を持つ。
販売効率や回転率を追う従来型の小売とは異なり、体験価値を重視するD2C型旗艦店のあり方を示す事例として、商業施設関係者にとっても注目される動きである。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗概要
福岡県糸島市長野1480-4 エーテ1F
TEL: 092-332-92872025年12月20日 OPEN予定







