MARK IS 福岡ももち、売上高195億円・来館者数1149万人で過去最高 都市型SCの好循環モデル確立
福岡市中央区・地行浜エリアに位置する大型商業施設「MARK IS 福岡ももち」が、2024年度の業績として売上高195億円・来館者数1149万人を記録し、いずれも過去最高を更新した。運営する三菱地所プロパティマネジメントによると、これらの数値は開業初年度(2019年度)を初めて超えた前年度に続く連続記録となり、福岡市内の都市型商業施設として着実な成長軌道を描いている。
「MARK IS 福岡ももち」は、2016年に閉館したホークスタウンモールの跡地に2018年11月に開業した施設で、福岡PayPayドーム、福岡タワー、ヒルトン福岡シーホークと隣接する地の利を活かし、観光客・イベント来場者・宿泊者といった多様な層を取り込んでいる。加えて、周辺の再開発や市内中心部からのアクセス性の高さも相まって、都市型の高感度なショッピングセンターとしての立ち位置を確立しつつある。
2024年度には開業以来最大規模となるリニューアルを実施し、8月末から9月にかけて17店舗(新規15、リニューアル2)を導入。中でも2階東エリアに新たに形成されたファッションアウトレットゾーンは、都市生活者の日常的な購買ニーズとアウトレット特有の価格訴求を両立させる提案型売場として機能しており、施設全体の来館動機の強化につながっている。これまで郊外型アウトレットが中心であった福岡都市圏において、都市型アウトレット導入は先駆的な試みであり、今後の動向が注目される。
また、地域ニーズに応えるテナント戦略として、2階には「マクドナルド」が再出店。かつてホークスタウンモール内にあった旧店舗を記憶する来館者も多く、復活を喜ぶ声が相次いだ。さらに3階には、九州最大規模の体操教室「Do Challenge club」、首都圏で人気の「ニンジャ☆パーク」などアクティブなキッズ向けアミューズメントが集約されており、ファミリー層のリピートを後押ししている。
加えて、次世代モビリティ市場の象徴とも言えるEVブランド「BYD」が1階にショールームを構え、先行する「テスラ」と並び、世界トップクラスのEVメーカーが一堂に会する稀有な商業空間が生まれた。リアルな製品比較が可能なことから、従来の商業施設とは異なる目的で訪れる来館者も増加しており、新たな集客導線の創出に貢献している。
年間を通じては、人気IPコンテンツとの大型連休連動イベントも積極的に展開。「名探偵コナン」や「ハリー・ポッター」など国内外にファンを持つキャラクターを起用することで、県外・海外からの来館を促進し、回復基調にあるインバウンド需要も着実に取り込んでいる。
2025年度は、リニューアルで導入した新店の通年稼働とあわせ、地域密着型の施策も強化される予定だ。館内中央の象徴的な「おおかいだん」では、四季折々の装飾を行うことで、来館頻度の高い地域住民にも新たな楽しみを提供する。また、「マナビバ・マークイズ」「ボウサイ・マークイズ」といった地域連携型イベントを通じ、育児や防災といった生活密着テーマへの関与も広がっている。
福岡市は、九州最大の経済圏でありながら、政令指定都市の中でも観光・インバウンドの回復スピードが早い都市として注目されている。天神エリアの商業集積やキャナルシティ博多といった競合がひしめく中、「MARK IS 福岡ももち」は広域観光地との隣接性を強みに、地域リピーターと観光来訪者の両軸を取り込むハイブリッド型の都市商業施設として、その存在感を高めつつある。
今後は、都市型アウトレット業態の成果、EVショールームの収益性、地域連携イベントによる来館者の質的変化などが鍵となり、単なる物販・飲食を越えた商業施設の役割が問われていくことになるだろう。以下、三菱地所プロパティマネジメント株式会社のプレスリリースから画像と施設概要を引用。
■施設概要
開業日:2018年11月21日
所在地:福岡県福岡市中央区地行浜2-2-1
運 営:三菱地所プロパティマネジメント株式会社
面 積:約130,000㎡(約40,000坪)
駐車場:約1,300 台
施設内容:4階 / 物販・飲食・サービス・エンタメ / 156店舗(2025年3月31日現在)
アクセス:西鉄バス「PayPayドーム」または「九州医療センター」より徒歩すぐ