JR大阪駅前に誕生する新複合施設「グラングリーン大阪」が先行まちびらき
都市開発の在り方が問われる中、2024年9月6日、JR大阪駅前の新たな複合施設「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」が先行まちびらきを迎えた。約91,150平方メートルの敷地に、オフィス、ホテル、中核機能施設、商業施設、都市公園、住宅を有する大規模な都市開発プロジェクトだ。
近年、都市開発は大手デベロッパーが主導する傾向が強まっている。豊洲、幕張メッセ、横浜みなとみらい地区など、旧財閥系の大手デベロッパーがまちづくりを牽引してきた事例は多い。しかし、持続可能な開発という観点から見ると、従来の都市開発の方向性には疑問も投げかけられている。新しい建物や理想的な公園を作るだけでなく、既存の建物やコンテンツ、サービス、人材を効果的に組み合わせ、環境負荷を抑えつつ都市を再活性化する手法が求められているとの指摘もある。
一方で、経済の循環や新しい動きの創出には、古いものを更新し新しいものを生み出す必要性も指摘されている。イノベーションを促進するためには、新たな開発も重要な役割を果たすという見方もある。
このような背景の中、グラングリーン大阪は三菱地所株式会社を代表企業とするJV9社が推進している。計画コンセプトは「”Osaka MIDORI LIFE”の創造」~「みどり」と「イノベーション」の融合~。まちでの出会いが様々な価値を創造し、持続的に社会全体を良くしていくことを目指している。
注目すべきは、約45,000平方メートルの都市公園「うめきた公園」の整備だ。大阪の都心部に広大な緑地空間が誕生し、シンボルとなる大屋根イベントスペース「ロートハートスクエアうめきた」も設置された。公園の管理運営は「一般社団法人うめきたMMO」が担当し、今後50年にわたるパークマネジメントとエリアマネジメントを通じて、多彩な参加型プログラムや非日常的な体験を提供する。
また、中核機能施設「JAM BASE」がオープンし、多様なプレイヤーが集まり新たなアイデアの創出から社会実装、事業化までを一貫してサポートする。商業施設「SHOPS & RESTAURANTS」や「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」も開業し、複合的な都市空間が形成された。
グラングリーン大阪の全体計画は段階的に進められ、2025年春頃に南館、2027年春頃にうめきた公園後行工区の開業を予定している。本プロジェクトは、人々のQOL向上や自己実現の機会創出、企業の新しいサステナブル推進活動やイノベーション創出など、新しい価値の協創を目指している。
従来型の都市開発に対する批判的な視点も踏まえつつ、イノベーションの創出や都市の魅力向上、国際競争力の強化を目指すグラングリーン大阪の取り組みは、今後の都市開発の在り方を考える上で重要な事例となるだろう。環境負荷の低減と新たな価値創造の両立、既存の都市資源の活用と新規開発のバランスなど、様々な観点から注目されている。以下、阪急阪神不動産株式会社のプレスリリースから画像を引用。