BRING™、ニュウマン高輪に期間限定出店 循環型社会を体現するサステナブル拠点
株式会社JEPLANが展開するブランド「BRING™」は、2025年9月12日、新規開業した「ニュウマン高輪 North」4階に期間限定店舗をオープンした。出店期間は2026年2月末まで。再生ポリエステルを核とするアパレルと循環体験を組み合わせ、都市型商業施設における新しいサステナブル拠点として注目される。
BRING™は、使用済み衣類や繊維を回収し、自社のケミカルリサイクル技術「BRING Technology™」で分子レベルにまで分解。汚れや色素を除去し、新素材と同等品質の「BRING Material™」として再生する仕組みを有する。繰り返し循環可能である点が大きな特徴で、単なる再利用にとどまらないサーキュラーエコノミーの実装モデルと位置づけられる。
今回の店舗は、循環を「体験」として提示することに力を入れている。カウンターやフィッティングルームには海洋プラスチックや複合プラスチックを再資源化した素材を採用し、古着回収品を加工したハンガーや廃棄予定の設計図紙を内部に利用したトルソーを設置。商品だけでなく什器や内装にまで循環設計を反映させ、サステナブルを来店体験に落とし込んでいる。
オープニング施策としては、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』公開40周年を記念した限定コレクションを販売。象徴的なビジュアルを再構成した全11型のアイテムを展開し、カルチャーとサステナビリティを掛け合わせた企画で話題を集める。その後も「HOZUBAG」や「WILD THINGS」とのポップアップを予定し、アウトドアやライフスタイル領域を横断する発信を継続する。
商品や什器の設計にまでサステナブルを徹底する姿勢は評価される一方で、循環型製品の価値を「数値」としてどのように示すかにも関心が高まっている。特に注目されるのが、再生素材を用いた製品のカーボンフットプリント(CFP)の算定である。CFPには複数の手法が存在し、結果が大きく変わる。一般的な「カットオフ方式」では、回収衣類に内包された製造時の環境負荷は引き継がれず、再生処理段階の排出だけがCFPに反映されるため、数値は小さく算出される。一方、欧州で普及が進む「CFF(Circular Footprint Formula)」では、初代製品と次代製品で負荷を分配するため、1枚あたり数kgから10kg近いレンジを取ることもある。
現時点でBRING™/JEPLANは製品1枚あたりのCFPを数値で明示していない。サステナブルな理念やCO₂排出削減への取り組みは発信しているものの、消費者や施設関係者が比較できる具体的数値は公開されていないのが実情である。この点は、透明性を高める余地が残されている。
比較すると、欧州ブランドではすでに数値の開示が始まっている。ドイツのArmedangelsは「Action Report 2023」で製品レベルのCO₂フットプリントを算定し、平均9.08 kg-CO₂e/製品と公表。素材改善や供給網全体の透明性を指標として掲げている。一方、Patagoniaは製品ごとの数値は示していないが、全体での排出構造や低インパクト素材の使用率(2025年秋コレクションで約86%)を明示し、使用期間延長やリペア施策を通じた排出削減を重視している。いずれも透明性を競争力の要素として位置づけている点が共通する。
ニュウマン高輪は高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発で注目を集める新拠点であり、都市生活者やインバウンド需要の取り込みが期待される。BRING™の期間限定店舗は、サステナブルを空間と商品で体感させる場であると同時に、CFPをめぐる透明性の議論を商業施設の現場に持ち込む契機ともなり得る。循環型社会の「見せ方」と「数値化」の両立が、今後の商業施設におけるサステナブル提案の焦点となりそうだ。
以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
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■BRING™ ニュウマン高輪店 North 4F
住所:東京都港区高輪2丁目21番1号 ニュウマン高輪 North 4F
オープン日:2025年9月12日 (金)
出店期間:2025年9月12日(金)~2026年2月28日(土)