変化が求められる商業施設のMD 2016年10月販売統計前月比0.9%
日本商業施設協会から10月の販売統計調査が発表された。内容は9月に対して+0.9%で3ヶ月ぶりにプラスに転じたというものでした。このプレスリリースを読んでいてドキッとしたことがあります。好調業種が飲食とサービス、キーテナントは生鮮食品を挙げたテナントが多かったということです。どうしてこの業種が好調なのか?というとひとつはハロウィーンなどのイベント開催により商業施設に人は集まったがものを買わずに時間を過ごしたということです。婦人衣料は今月も不振だが冬物衣料の販売が伸びたという声もあるようですが、基本的には衣料品はなかなか苦戦している状況にあります。
このデータから見る限り商業施設に求められている機能がモノを買う場所から、楽しむ場所に変わりつつあります。イベントで集まったり、ご飯を食べにいったり、映画をみたりするという体験型の機能が求められるようになりつつあるということです。屋内体験型キッズスペースが好調なようにこれから益々商業施設は物販から体験という方向にシフトしていくのではないかと思わせるようなデータでした。
しかし、これまで商業施設を牽引してきた店舗はどうなるのか?ネット通販にとって変わられるかわいそうな業種なのか?というとそうではなくて、そこにいかないと体験できない買い物体験ができる場所に進化する必要性が生まれています。例えば、洋服を買う時に発生する店員とのコミュニケーション、試着できるというメリットなどを活かした買い物体験を今まで無いところまで引き上げる必要性がでてきています。
今の時勢にあった、今のお客様にあった業態に変化させる。これが今の商業には求められている重要なポイントになるのではないかと思っています。
以下、一般社団法人日本ショッピングセンター協会からの引用
既存SC前年同月比:0.9%
イベントやシネマの好調が売上につながり3ヶ月ぶりにプラス
<全体概況>
•10月度の既存SC売上高は、総合で前年同月比0.9%(前月▲4.0%)となり、7月度以来3ヶ月ぶりにプラスとなった。
販促イベントやシネマの好調に加えて、昨年に比べて日曜日が1日多かったことや下旬からの気温低下に伴う冬物衣料の販売回復がプラスに寄与した。
•立地別(表-1)では、総合では中心地域が0.8%(前月▲3.6%)、周辺地域が1.0%(前月▲4.2%)となり両者で改善がみられた。キーテナントが全ての地域でマイナスであったが、テナントは全ての地域でプラスとなり総合を押し上げた。総合で唯一マイナスとなった中心地域/中都市(▲0.6%)ではキーテナントに百貨店を持つ地方SCの売上不振が目立った。
•地域別(表-2)では、全ての地域でプラスとなったものの、中部地域以西では四国を除き5地域で前年比0.1%~0.4%とプラス幅は小幅であった。
•都市規模別(表-3)では、政令指定都市の総合が1.3%(前月▲3.0%)、その他の地域の総合が0.7%(前月▲4.8%)となり両者ともに前年を上回った。テナントとキーテナントともにマイナスとなった名古屋市と福岡市は周辺地域の売上げが不調だった。
•好調業種として、テナントは飲食とサービス、キーテナントは生鮮食品を挙げたSCが多かった。一方、婦人衣料は今月も不振との回答が多く見られたものの前月よりは減少した。特に、下旬から気温が低下したことに伴い、冬物衣料の販売が伸びたとの声もきかれた。
<トピックス>
10月度は7月度以来3ヶ月ぶりにプラスとなった。好調要因に販促イベントの効果を挙げるSCが多くみられた。販促イベントは例年実施しているが、今年度は特にハロウィンイベントや販促セール実施時期と気温低下のタイミングが重なったことが衣料品の購入に繋がったとの声が聞かれた。