姉妹サイトである商業施設の賢人たちにご登録いただいているコンサルタントの皆様へのインタビュー記事です。今回は商業施設界のマジカルプランナー太田仁氏。同氏は長年に渡り商業施設のプランナーそしてリーシングエージェントとして活躍されているキャリアを持つプロフェッショナルです。最近の商業施設・商業のトレンドに対してどんな考えをお持ちなのでしょうか?それでは6つの質問を聞いてみましょう。
質問1 最近気になっている商業施設はありますか?

湘南T-SITEです。
立地は藤沢市南部(JR東海道線より海側のエリア)で、比較的、民度の高い地域での郊外型SCと言えるだろう。
特筆すべきは、シニア層をしっかりと集客しているという事実!イオンをはじめ大手リテイラーが血眼になって捕まえようとしている世代を完全に捕まえている。本は売っているが本屋でない「大人のおもちゃ箱」とでも言おうか?大人の知的好奇心を刺激する、そんなMDになっていると思う。また、「年間1000回のイベントを催す」を目標に、常に客を飽きさせない、常に何か動いている、常に新鮮感があるそんな施設を目指すという、今後の運営についても注目してゆきたい。
質問2 最近気になっているテナントはどこですか?
ヘアカラー専門店fufuです。
毛染め専門店でカットはやりません、ブローはセルフです。ショートタイム&ロープライスがお店の売りです。一般の美容室や理容店、1000円カットサロンなどと同様、美容師(理容師)の資格が必要なのだが、他方は人手不足で悩んでいて、そのために新規出店が思うように進まないというような状況まで発生しているにもかかわらず、fufuはヘアーカラーのみの為、最新技術やトレンドの知識など必要がない。資格を持ちながら結婚などで一度リタイヤした方々の復職の場として評価され、全く従業員に困ることがないとの亊。大手企業(㈱トリドール)との資本業務提携も成り、今後の成長が期待される。
質問3 最近気になっている商業施設のトレンドはどこですか?
茅ヶ崎BRANCHです。築50年のUR賃貸住宅の建替え再開発事業。SM、実用衣料、ドラッグ、100均などありながら医療、介護、保育、図書館、体育館など今までにない業種業態ミックスで今後のNSC開発の一つの方向だと思う。
質問4 最近気になっている消費者動向はありますか?
シェアです。カーシェアからはじまり洋服のシェアまで。いままで保有しなければ利用することができなかったものがシェアすれば利用できるというトレンドはとても気になります。所得などとの兼ね合いで生まれたトレンドで今後も大きくなっていくことが予想されます。ただし、私個人としては理解するのが難しいトレンドでもあります。おそらく世代間でシェアに対する意識は大きく違うのかもしれません。
質問5 今年も大型商業施設がいくつか開業しますが注目されている施設はありますか?
LECTです。広島商工センターに開発されるSMイズミ、HCカインズ、蔦屋書店と食マルシェ これを一体の建物で構成された商業施設です。開業される地区は、ゆめタウン広島本店、ゆめタウン廿日市、アルパーク、イオン、フジグランなどが既に健闘されている競争が激化している地区ですが、全員4番打者のような強いテナントをあわせたLECTが当該地区でどう勝負していくのかが今後見ものです。
質問6 ここ数年ですごいなと思わされた商業施設やテナントをお教えください。
スターバックスコーヒーです。ブランディングの大成功例だと思います。
本国へ行けばご承知の通り、「街角にスタバ」と言っても過言ではないほどにポピュラーであるのにもかかわらず、日本ではプレミアムコーヒー店として他の追随を許さないのは、やはりブランディングがうまくいったからだと思う。そこで働く従業員の子達も、スタバで働いている自分が好きで、来ている客もスタバでラテを飲みながら本を読む、仕事をする、話をしている自分が好きでドトールの1.5倍の値段のコーヒーをオーダーする。納得して高いものを買う。経営サイドも喜ぶ・・・客よし従業員よし経営よしと、まさに「三方よし」。ブランディングという事がいかに重要か、難しいか、その後の似たようなコーヒーチェーンが日本上陸したし、国内企業が真似てみたりしたが足元にも及ばないという事実がそれをものがったっている。