イオンタウン株式会社の戦略と新店舗「イオンタウン松原」—多面的なメリットと地域社会への貢献
コロナ禍を経て、ネイバーフッド型商業施設(NSC)の役割は高まっています。NSCは生活密着型商業施設としての役割を果たしており、多くのメリットがあります。特に、NSCはオープンモール形式を採用しているため、建設コストが低く、顧客にとっても効率的な買い物が可能です。具体的には、駐車場を中心に建物が配置されているので、顧客は目的の店舗に近い場所で駐車ができ、歩行距離が短縮されます。
このNSC型商業施設は、高齢化や大都市圏への人口集中といったマクロ環境の変動に柔軟に対応しています。生活必需品に対する安定した需要があり、このような施設には専門店やチェーンストアが多くテナントとして存在するため、顧客にとって非常に便利な場所となっています。
投資法人の観点からも、生活密着型のNSCは魅力的な投資対象です。これらの施設は、国土交通省が推進するコンパクトシティの理念にも合致しており、地域コミュニティの活性化に貢献します。特に、小規模化・専門店化のトレンドが進む中で、生活密着型のNSCへの需要は今後ますます高まると考えられます。
総じて、NSC型の生活密着型商業施設は、建設コストの効率性、顧客の便益、社会構造の変化への柔軟な対応力など、多面的なメリットを有しています。これらの要素は、投資家にとっても、顧客にとっても、地域社会にとっても有益であり、その重要性は今後さらに高まるでしょう。そんなNSCの商業施設を牽引しているのが旧ロック開発株式会社、現イオンタウン株式会社。今回はイオンタウン株式会社の沿革と今回新たに開業するNSCについてのニュースです。
ロック開発株式会社は、かつてイオングループと大和ハウス工業が共同出資して設立された企業であり、主に近隣型ショッピングセンター(NSC)の開発と運営を手がけていました。会社名の「ロック」は「Land Owner and Company」の略で、土地有効活用事業(LOCシステム)に由来しています。この企業は特に工場跡地の再開発が多く、中規模のオープンモール型ショッピングセンターを中心に展開していました。
イオンリテールやイオンモールが大規模なショッピングセンターを展開する一方で、ロック開発は「マックスバリュ」や「カスミ」などを核店舗とする中小商圏のNSCを主に手がけていました。また、「ザ・ビッグ」を核店舗としたSCも増加していました。
2011年にはイオンが大和ハウスの保有する全株式を取得し、ロック開発はイオンの完全子会社となり、「イオンタウン株式会社」に社名を変更しました。この変更はショッピングセンター名や看板にも反映され、本社は千葉市美浜区に移転しました。
イオンタウンは、イオングループが展開するNSCのブランド名であり、平屋型または低層型の独立建築物を中心とした形態が一般的です。運営は核店舗のスーパーマーケット企業と専門ディベロッパのイオンタウンが行っています。
イオンと大和ハウスの提携は、小規模ショッピングセンターの開発においても続いており、LOCシステムが採用されています。このように、ロック開発からイオンタウンへと変わった背後には、商業施設の多様な形態と市場ニーズに応じた柔軟な戦略が見て取れます。今回は大阪府松原市にショッピングセンター「イオンタウン松原」をグランドオープンするとのこと。この新施設は大阪市に隣接し、近鉄南大阪線の「河内松原」駅から約1km、国道309号線に面しており、交通アクセスが非常に便利な立地にあります。
施設のコンセプトは「日々の暮らしに、新たな出会いと発見を求めて」。全37店舗が出店し、その中には本州初出店の大型ホームセンター「ハンズマン松原店」や、地元松原市初出店の飲食店も含まれます。特に、食に特化したエリアでは、314席を備えたフードコート「新堂キッチン」と、地元の名産品から人気のスイーツまでを提供する「新堂マルシェ」が設置されます。
食品スーパー「イオンフードスタイル松原店」では、「新しさ」「お得さ」「便利さ」をコンセプトに多様な商品とサービスが展開されます。一方で、ハンズマン松原店は、九州で11店舗を展開するハンズマンが本州で初めて出店する店舗となり、その圧倒的な品揃えとサービスで、まるでテーマパークのようなショッピング体験を提供します。
このように、イオンタウン松原は、多様なニーズに応える店舗構成と便利な立地で、新たなショッピングの地として注目されています。この一連の動きは、イオンタウン株式会社がNSC型商業施設におけるリーダーシップを堅持している証であり、大都市近郊から地方までの多様な市場ニーズに対応する戦略的な取り組みが反映されています。新しくオープンする「イオンタウン松原」も、その多角的な取り組みの一環として、地域社会に新たな価値と活力をもたらすことでしょう。これからも、イオンタウン株式会社は、顧客、投資家、そして地域社会にとっての価値を高め続ける企業として、その存在感をより一層強めることが期待されます。
以下、イオンタウン株式会社のプレスリリースから施設概要と画像を引用。
【イオンタウン松原施設概要】
SC名称:イオンタウン松原(まつばら)
所在地:大阪府松原市新堂4丁目1154
連絡先:06-6454-1884(西日本事業部)
責任者:西日本事業部 近畿営業部 阪和エリアマネジャー 長沢 秀樹
敷地面積:約62,121㎡
延床面積:約47,073㎡
駐車台数:1,387台
駐輪台数:315台
店舗数:37店舗(核店舗含む)
構造:鉄骨造2階建て
開店:2023年10月9日
営業時間:専門店 10時~21時
新堂マルシェ 9時~21時(一部店舗により異なる)
イオンフードスタイル松原店:9時~22時
ハンズマン松原店:7時~22時
従業員数:約1,000人
基本商圏:半径3~5km 12.6万世帯 29万人