株式会社ハンズの仕掛ける地方百貨店向け売り場ソリューションが拡大
百貨店の今後の展開についていくつかこれまで記事を執筆してきた。その中で百貨店の生き残る道は大きく2つに分かれるということも言及している。1つが自主編集のMDにより磨きをかけて行き、良いものが適正価格で変える場所として生き残っていくパターン。もう一つが自主編集MDを思い切って減らして、商業施設と同じようにリーシングに力を入れていくパターン。この2つのパターンの間を突いたビジネスモデルはこれまでなかったが2020年からこの間を狙ったビジネスモデルが徐々に成長していっている。そのモデルとは株式会社ハンズのプラグスマーケットである。
プラグスマーケットは「地域を元気に」をキーワードに、地域密着で特徴ある店づくりを進めるパートナー企業と共に地域の魅力を発見、発信、可能性を育むマーケットをつくるハンズの新業態。売り場は3つのゾーンで構成されているのが特徴で、1つ目は「伝え場」で、地域のいいもの、地域にとっていいものやコトを紹介するイベントゾーン、2つ目は「モノの場」で、ハンズがセレクトした商品で構成される売り場ゾーン、3つ目は「話し場」で、モノの場に関連するサービスや商品のテナントゾーン。これら3つのゾーンで構成され、地域の百貨店、ショッピングセンター等の商業施設、地方自治体、ハンズの連携により、新たなシゲキを街に流し地域の魅力最大化、活性化を目指しているモデル。
百貨店の長年その場所に根付き培ってきた独自のネットワーク、信頼という関係性から生まれる強みと百貨店とかぶらない自主編集による独創的な売り場構成力に定評がある株式会社ハンズの強みによるシナジーで地域創生のあらたなきっかけとなる場所づくりとなるのがプラグスマーケット。ハンズの楽しさやワクワクする商品構成は比較的若年層に認知度が高い。これまで百貨店に訪れていなかった客層をハンズの名前で引き込むことが可能になる。逆に百貨店のメイン顧客はハンズに訪れることがなかった層。この顧客層にハンズはリーチすることができる。お互いにウィンウィンとなるモデルを目指しており、2020年からこれまで8店舗展開できているところを鑑みると成功していることが伝わる。
座組としてはフランチャイジーが百貨店、フランチャイザーが株式会社ハンズという取り組みになる。イベントスペースとなる伝え場の企画運営とリーシングはフランチャイジーの百貨店が実施。その他の部分はハンズがフランチャイザーとして管理していくというもの。地方百貨店でこれからの売り場をどう組み立てて良いかわからなくなっている企業には渡りに船のビジネスモデルで今後ますます地方百貨店から引き合いが増えるビジネスモデルなのではないかと思われる。売り場の面積も300坪以上の比較的大型区画での展開となる。カインズグループ企業になる前から株式会社ハンズが仕込んで進めてきていたこの新規事業、大輪の花を咲かせていきそうな気配がする。今回はフランチャイジーが近鉄百貨店で同社は今回で3店舗目となるプラグスマーケットになる。以下、株式会社ハンズのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
店舗概要
店 名 : プラグス マーケット近鉄上本町店
出店場所 : 大阪府天王寺上本町6-1-55 近鉄百貨店上本町店2階
交 通 : 近鉄大阪線、奈良線「大阪上本町」駅直結
店舗面積 : 約 1,000平方メートル
株式会社近鉄百貨店(本社:大阪市阿倍野区)によるフランチャイズ形態の店舗です。