周辺都市で挑戦するコスメロフト
周辺都市への出店の難しさというものがある。都市システムという学問体系があり、関連性を持つ複数の都市が他の都市に対して経済・産業的に影響を及ぼしていくさまを研究している。その中でもドイツの都市学者であるヴァルター・クリスタラーにより提唱された中心地理論は今もなおこの学問に対して大きな影響を与えている。都市の中心地の施設を周辺住民が利用することで中心地に人が集まる。集まることでそこが中心地としての機能を持つようになるした理論。ただし、中心地には複数の規模があり、中心地の機能でより広範囲の地域に影響を与える中心地と狭い範囲で影響を与える中心地が存在しているとした。
これは東京都とその周りの都市で考えるとわかりやすい。埼玉県であれば池袋。神奈川県や東京都下であれば新宿。池袋や新宿と連動する都市においては、池袋や新宿はより高次な中心地であり、そこに紐づく周辺都市はどれだけ規模が大きくても文化的・商業的なポジションでは劣ってしまう。所沢にどんなに素晴らしい商業施設を建設しようとも池袋の商業施設の売上にはなかなか勝つことは難しいであろうし、八王子にどんなに素晴らしい商業施設を建設しても新宿の商業施設に勝つことは難しい。
なぜならば高次の中心地はそこに紐づく周辺都市の人口が商圏となるために、低次の中心地である周辺都市の商圏も飲み込んでいるからである。となると周辺都市の商業施設は自ずとそのポジショニングが明らかになってくる。コロナ以降その傾向は色濃く出ており、周辺都市の商業施設のMDは地域一番店、地域一番商業施設を標榜するようになっており地域密着型商業施設が求められるようになっている。さて、今回はそんな周辺都市である横浜市鶴見区の駅ビルシャル鶴見に「コスメロフト シァル鶴見店」がオープンするというニュース。鶴見区の人口は、横浜市内で3番目、人口増加率も市内上位でありながら、横浜まで10分前後、川崎まで10分以下、川崎であれば自転車で行けるという距離感の場所。横浜の周辺であり、川崎の周辺である鶴見はより地域密着型の商業コンテンツが求められるエリアとなっている。
そこに今回株式会社ロフトが最新のコスメトレンドに敏感な感度の高いお客様や駅を利用される地域のお客さまのデイリーユースにも応える利便性の高いお店をオープンするという。今回のコスメロフトというブランドはロフトの美容・健康雑貨領域に特化したコンパクトタイプの店舗。“旬”なコスメを凝縮しコスメ周辺の雑貨もピックアップして展開している。この業態が一大商業エリアの川崎と横浜の間の鶴見でどれくらい活躍していくのか期待が募る。以下、株式会社ロフトのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【店舗 概要】
◇店舗名:コスメロフトシァル鶴見店
◇所在地:神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央1丁目1-2 CIAL鶴見 4階
◇開店日:2023年5月2日(火)予定
◇営業面積:約37坪(約122.3㎡)【「CIAL鶴見」 概要】 ※2022年12月時点
◇開業日:2012年11月
◇運営会社:株式会社横浜ステーシヨンビル
◇店舗面積:約1,694坪(約5,600㎡)
◇テナント数:約70店舗
◇アクセス:JR鶴見駅直結