食のイノベーションのかたち
イノベーションという言葉はちょっとしたビジネス本などを読むと見かける言葉ですが、もともとは経済学用語。オーストリア=ハンガリー帝国の経済学者であり、アメリカのコロンビア大学の名誉博士でアメリカ経済学学会会長や国際経済学会会長などを歴任した著名な経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが編み出した経済用語がイノベーション。シュンペーター氏が示したイノベーションには5つの形があり、1)新しい財貨の生産、2)新しい生産方法の導入、3)新しい販売先の開拓、4)原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
、5)新しい組織の実現(独占の形成やその打破)だとした。このイノベーションを起こす実行者をアントレプレナー(起業家)とシュンペーターは呼んだ。
このイノベーションが発露する条件にはいくつかの複合的な条件が必要だと思われており、近年ではIT系の企業のイノベーションはシリコンバレーにおいて生まれる条件がそろっていたと思われている。しかし本質的な条件としては社会の変容とそこから生まれたニーズによってイノベーションはもたらされるものではないかと思う。2019年から始まったコロナ禍により世界中の人々が非接触という大命題を抱えていた。この命題に対する解がひとつのイノベーションにつながっていく。ここ数年で注目されるべきイノベーションはゴーストレストラン。客席を持たず、サービスを行う従業員を持たない。ITで管理されたオーダリングシステムと効率化されたキッチンがあれば可能なこの業態は今日本各地の都市に散見される。
これまでは零細企業、個人企業やキッチンを持て余していた企業が取り組んでいたこの業態だがここにきて大手が参入する。株式会社きちりホールディングスの関連会社株式会社レストランXがテイクアウトおよびデリバリー専門店「客席のないレストラン」を今春に開業。 110店舗以上の飲食店を運営しているきちりホールディングスのノウハウが詰まったレシピや厳選した食材と確かな調理技術を活用し、和洋中10ブランドを超えるハイクオリティのメニュー150品以上を揃えるとのこと。注文はすべてアプリを経由した非接触(コンタクトレス)で完全キャッシュレス。調理工程やスタッフの様子を可視化した大きなガラス窓を設置し、いつでも安心感のある商品を提供するテイクアウトおよびデリバリー専門店になるとのこと。
出店場所についてはプレスリリースでは名言されていないので今後どうなっていくのかは不透明だが、ゴーストレストランで150以上のメニューを持つ店舗はそう多くはない。それほどのメニューを持つゴーストレストランがどこに出店するのか?どう営業していくのかこれから楽しみな店舗になりそうだ。以下、株式会社レストランXのプレスリリースから画像を引用。