メインの顧客を大切にする施設
経営環境の変化をただしく受け止めることが出来ないと商業施設も生き残ることが難しい時代にますますなってきています。店舗側のMDに依存するのではなく商業施設側が積極的にテナントミックスを検討することが商業施設全体の魅力を向上させることになっていきます。というのもここ10年程度の日本の都市部の商業施設の変遷は目まぐるしいものがありました。まずは中国の経済的発展。これによって中国の富裕層が日本にこぞって旅行に来ては爆買をしてくれたおかげで商業施設も爆買に対応した施設に徐々に変わっていきました。
東京オリンピックが開催されることもあり、日本国中インバウンドに対する機運が高まっていた2019年でしたが突如として起こったコロナ禍によってインバウンドはピターっと止まってしまいインバウンドを主な収入源としていた店舗や施設は閉店を余儀なくされていきました。東京は秋葉原あたりにあったインバウンド対応の小さめの商業ビルはものの見事殆どがクローズしていきました。コロナが広まるにつれて、注目される商業施設はインバウンド対応から足元商圏対応の商業施設へと変わっていきました。
その流れは駅ビルにも押し寄せていきました。元々人々が通勤通学で使用することを想定において開発された商業施設が多く、近隣住民に対してのスタンスを明確に打ち出している駅ビルもあまりありませんでした。今回のニュースは京都駅前の地下街であるポルタの飲食ゾーンがリニューアルするというものです。ポルタもご多分に漏れずインバウンド対応で潤った商業施設でありながら、今回大転換を行い地域住民、近隣勤務者にアピールする形でのリニューアルとなる模様です。2014年にリニューアルし、観光客に人気の業態を過剰に出店させたことからテナントミックスに偏りが生まれ、ランチおよびディナーが同じメニューとなり、価格も比較的高価格帯のものに寄っていってしまったとのこと。
近隣の住民・勤務者の方々が不在のテナントミックスになってしまったことを反省し、今回は重複業態を整理し足りていない業種を拡充しするとのこと。同時に主要顧客の女性に支持される(この表現は今や微妙かもしれませんよね。複数人数で来店し新しいものに強く反応する顧客層のことを言っているのでしょうか)店舗を増強するとのこと。夜の集客にも力をいれていき、飲める地下街を目指すとのこと。テイクアウトにも力をいれていくとのこと。
メインの顧客をないがしろにして良いことはまず無いということは明白です。今回を機会にポルタはより地元密着型になっていくことになるのだと思いますが、後数年したらまたインバウンドが強くなっていった時にどう対応していくのかこちらも見ものだと思わされました。今後のポルタ飲食店の動向には注目です。以下、JR西日本京都SC開発株式会社のプレスリリースよりポルタの概要および画像を引用。
運営会社:JR西日本京都SC開発株式会社
代表取締役社長 森本 卓壽(もりもと たかとし)
所在地 :京都市下京区烏丸通塩小路下る東塩小路町902番地
営業時間:物販・サービス店11:00~20:30
飲食店11:00~22:00
(一部営業時間が異なる店舗があります)
定休日 :不定休
店舗数 :128店舗
店舗面積:約10,200㎡