変わる商業施設の役割
時代に応じて施設や店舗の役割というものは変わり続けます。店舗で言えば喫茶店。個人店のアットホームな喫茶店では地域のコミュニティの礎としての役割を担っていました。ドトール珈琲などのセルフカフェと呼ばれる業態が広がり、コミュニティの場所から気軽に個人が過ごす場所に、スターバックスなどのシアトル系カフェの台頭で人によっては勉強する場所、人によってはコミュニケーションを楽しむ場所、仕事をする場所など利用者側の多様性を包含することができる場所へと変わり続けています。では商業施設はどうか?
駅前、リージョナル、ネイバーフッドなどそれぞれに役割というものが存在しており、その役割は店舗同様に時代に応じて変化し続けています。ここ最近ではネイバーフッド型の商業施設が思いっきり地域の住民の利便性を重視したテナントミックスをおこなうことが主流となっています。その影響を今後色濃く受けていきそうなのが駅前商業施設。いわゆる駅ビルです。新宿、渋谷、池袋、梅田などの駅ビルは例外として、その他の一般的な住宅地を抱える駅ビルの基本的なテナントミックスは1階が食品売り場、中層階は生活雑貨を中心としながら地域のニーズに応じてアパレルなど、最上階は本屋・レストランという構成。最上階のテナントミックスは長く変わらず、シャワー効果を狙って上層階に集客力の有るテナントを配置していました。しかし、その流れは近年の「利用者のニーズ」に応じて変化しようとしています。
アトレ五反田1の5F(最上階)に今回140平米のデンタルクリニック、医療法人社団翔翼会アトレ五反田シティデンタルクリニックが出店するとのこと。五反田という立地は実はターミナル駅で都営浅草線、JR山手線、東急池上線の3線が乗り入れる乗降車数も比較的多い駅。駅利用者が多いのですが、ターミナルということもあり人の足が早い駅でもあります。目的が無い限り駅ビルに降りて時間を過ごすことがなかなか無い駅でもあります。駅の駅ビルの最上階に今回歯医者さんが入るということは、これまでのシャワー効果理論の流れを分断する事になっていくのではないかと思われます。そもそもアトレ五反田1の5Fに食べ物を食べに行くことや本屋さんで本を探しに行くことは無いという英断をされ、より利用者にとってメリットの有るテナントを誘致された結果なのではないかと思います。
どのような商業施設でもメインの利用者の期待に応えることが、来店を伸ばし、館の価値を向上する最も重要なことかと思います。コロナ以降、人が外に出るということの意味が変わりつつ有る今、商業施設も時代のニーズを正しく受け止める必要性が増しているように思わされます。以下、株式会社アトレのプレスリリースより店舗概要と画像を引用。
名称:医療法人社団翔翼会アトレ五反田シティデンタルクリニック
概要:保険診療となる一般歯科、歯科口腔外科、矯正歯科、小児歯科はもちろんインプラント、ホワイトニング、審美歯科とオールジャンルで対応可能。全室個室でプライバシーにも配慮され、顕微鏡、マイクロスコープもあり精密治療も可能。クリニック業界では稀にみる医療用空気清浄機も導入。安心して診療を受けていただくことができます。
【営業時間】 10:30~20:30
【HP】 http://www.gotanda-shika.com/