搭乗ゲートが新たなブランド接触点になる——ebureの羽田空港出店が示す、コンテンポラリーラグジュアリーの顧客開拓戦略
サザビーリーグのレディスブランド「ebure(エブール)」が、4月3日に羽田空港第1ターミナル出発ゲート内の「イセタン羽田ストアレディス」にオープンする。展開するのはブランドの世界観を凝縮したコンパクトなラインナップで、7万5千円台のジャケットやリネン素材のワンピースなど、移動シーンに適したアイテムを中心に据える。
ebureは2016年秋冬にスタートした大人の女性向けブランドで、GINZA SIX・六本木ヒルズ・新宿伊勢丹・日本橋高島屋・玉川高島屋S・Cなど、首都圏を軸とした都市型百貨店・ハイエンドSCへの出店を中心に、現在国内約10店舗を展開する。価格帯は中心価格帯で7〜8万円台のジャケット、アウターは15万円から35万円に及ぶ、コンテンポラリーラグジュアリーの位置づけにある。
今回の出店先であるイセタン羽田ストアレディスは、伊勢丹新宿店プロデュースのセレクトショップとして羽田空港第1ターミナルの出発ゲートラウンジ内に常設されている。搭乗券保有者のみが入場できる特殊な商業空間で、営業時間は8時から19時。ebureはこのセレクトショップ内にブランドスペースを設ける形で空港リテールに参入する。
この出店が持つ意味は、単なる販路拡大以上のものがある。ebureが現在展開する店舗は、いずれも顧客が意図を持って足を運ぶ場所だ。百貨店やGINZA SIXへの来館者はすでにある程度のファッション消費意欲を持っている。対して出発ゲートラウンジは、搭乗という別の目的で訪れた人間が、時間の余白の中で偶発的に商品と出会う場所だ。PRが「旅のはじまりや移動の合間にふと出会う一着」と表現しているのは、この偶発性を意図的に設計していることを示している。
加えて羽田空港という場所の地理的特性がある。ebureの現状店舗は首都圏・名古屋・大阪の主要都市圏に集中しており、地方在住の潜在顧客が日常的にアクセスできるブランドではない。しかし年間4千万人超が利用する羽田空港の国内線出発ゲートは、全国から集まる旅行者・ビジネスパーソンとの接点になりうる。通常であればブランドの存在すら知らなかった層が、搭乗前の時間にebureと出会うシナリオが生まれる。
国内線の空港ファッションリテールは、土産物・コンビニ・軽食が主体で、高価格帯のウィメンズウェアが存在感を持つ場所ではなかった。ebureの今回の試みは、その常識に対する静かな問いかけでもある。以下、画像を引用。







