米国で店舗網が途切れたトイザらス、日本は「店の型」を更新する――国内5店同時展開が示す適応戦略
日本トイザらスは2026年2〜3月にかけて、移転オープンと新規オープンを含む5店舗の動きを一気に発表した。同じ屋号でありながら、売場面積が約155㎡級から約1,100㎡級まで大きく振れている点が特徴で、単なる出店の増減というより、立地と需要に合わせて“店の役割”を作り分ける運用が前面に出ている。
具体的には、2月13日に「トイザらス・ベビーザらス シーナシーナ青森店」(青森市・CiiNA CiiNA青森2F)が移転オープンし、2月19日に「トイザらス ならファミリー店」(奈良市・ならファミリー 専門店街zoro4F)が移転、2月20日に「トイザらス コクーンシティ店」(さいたま市・コクーンシティ内)がグランドオープン、同日に「トイザらス・ベビーザらス 名西店」(名古屋市・ヨシヅヤ名古屋名西店2F)が同施設内移転、3月13日に「トイザらス スマーク伊勢崎店」(群馬県伊勢崎市・スマーク伊勢崎2F)がグランドオープンする予定だ。ここで注目すべきは「大型・小型の同時提示」であり、チェーンの標準モデルを一つに固定せず、複数の型を併走させている点にある。
この見え方は、米国のトイザらスがたどった経緯と対比すると輪郭が出る。米国では破産手続きののち店舗網が一度途切れ、従来型の大型チェーンとしての成長モデルは維持が難しくなった。一方でブランド自体は残り、提携や別の販売形態を通じた再構成の余地が生まれた。つまり「大型店網を広げ続ける」一本槍ではなく、運営モデルを組み替える方向へ転じたと言える。
日本側は、この“組み替え”を国内の小売環境に合わせて先行的に進めてきた。ロードサイド大型中心の発想を相対化し、都市部やモール内でも成立しやすい小型フォーマット、玩具とベビーを併走させて利用頻度を高める併設型など、立地条件に応じて店の役割を設計する方向へ重心を移している。直近は新規出店だけでなく、既存店の移転や改装を通じて、売場の面積と構成を“勝てる型”へ寄せる動きも見えやすくなっている。
需要側の変化も、この戦略を成立させる土台になっている。玩具は子どもの人口動態だけで説明しきれない市場になり、大人の趣味消費やコレクション性、コミュニティ性の強い商材が厚みを増している。購買行動も、情報収集はオンライン、体験や発見は店頭という分担が強まりやすく、店は「買う場所」だけでなく「見つける場所」として再定義されている。小型店が成立するのは、単に縮めたからではなく、目的買いと回遊の両方を取りにいく設計が可能になったからだ。
今回の5店舗は、その設計思想を分かりやすく可視化する。日常使いの色が濃い施設にベビー併設型を置けば、出産準備から育児期の反復利用が見込める。一方、回遊が強い都市型・広域型の施設では、厳選・コレクション・ブラインドボックスなど“探索”と相性の良い売場を小さく成立させることができる。面積の大小は結果であり、狙いは「施設が持つ来館理由」と「売場が生む購買理由」の接続にある。
商業施設側の目線では、これはテナントの評価軸を更新する示唆でもある。大型の玩具・ベビーは週末のファミリー需要を支えるだけでなく、相談や買い替え、消耗品などで平日の利用も取り込みやすい。小型の厳選型は区画制約のあるフロアでも導入しやすく、回遊に乗せながら目的買いも狙える。坪効率の一点で判断するのではなく、館全体の再来店理由を増やせるか、イベントや新商品投入と連動して“更新される売場”になれるかが、より重要な指標になっていくだろう。
今後の注目点は、第一に小型店が「縮小」ではなく“目的性のある売場”としてどこまで機能するか、第二にベビー併設が施設の日常導線と結びついて長期利用をどれだけ獲得できるか、第三にこうした多型運用が改装・移転も含めてどの程度標準化され、他施設へ横展開されていくか、の三点に集約される。
■店舗概要
店舗名称:トイザらス・ベビーザらス シーナシーナ青森店
オープン日:2026年2月13日(金)
所 在 地:青森県青森市浜田1-14-1 CiiNA CiiNA 青森2F
売場面積:約1,109㎡
営業時間:10:00〜20:00店舗名称:トイザらス ならファミリー店
オープン日:2026年2月19日(木)
所 在 地:奈良市西大寺東町2-4-1 専門店街zoro 4階
売場面積:約188㎡
営業時間:10:00〜20:00店舗名称:トイザらス コクーンシティ店
オープン日:2026年2月20日(金)
所 在 地:埼玉県さいたま市大宮区吉敷町4-263-1 コクーンシティ コクーン2・3F
売場面積:約155㎡
営業時間:10:00〜21:00店舗名称:トイザらス・ベビーザらス 名西店
オープン日:2026年2月20日(金) ※同施設内で移転オープン
所 在 地:愛知県名古屋市西区名西2丁目33-8 ヨシヅヤ名古屋名西店2F
売場面積:約1,050㎡
営業時間:10:00〜21:00店舗名称:トイザらス スマーク伊勢崎店
オープン日:2026年3月13日(金)
所 在 地:群馬県伊勢崎市西小保方町368 スマーク伊勢崎 2F
売場面積:約393㎡ ※予定
営業時間:10:00〜21:00





