3Dプリントシューズ「STARAY」が有楽町マルイに出店──技術起点ブランドと都市型商業施設が交差する“イノベーション実装”の現場
3Dプリント技術を用いたフットウェアブランド「STARAY」が、有楽町マルイに出店する。接着や縫製を前提としない一体成形構造を特徴とする同ブランドにとって、今回の出店は単なる販路拡大ではなく、技術起点のプロダクトを日常消費の文脈に本格的に接続するフェーズへの移行と位置づけられる。
STARAYは、従来のスポーツブランドのように競技性能や大量生産を起点とした開発思想とは異なり、3Dプリントという製法そのものを前提に靴を再定義してきた。通気性や軽量性を構造で担保し、部材点数や工程を減らすことで、履き心地と製造思想を一体で設計している点が特徴だ。競技用途ではなく、日常生活における長時間着用や快適性を主戦場とすることで、既存の靴市場とは異なるポジションを築こうとしている。
そのSTARAYが、これまでの実証的な展開から一歩進み、都市型商業施設に常設出店する点は重要だ。TIB(Tokyo Innovation Base)内のTIB SHOPでの出展は、あくまで技術や製品の反応を確かめる実証フェーズに近い位置づけだった。一方、有楽町マルイでの展開は、来街者の日常動線の中で「選ばれる商品」として評価される段階に入ることを意味する。ブランド側にとっては、技術の新しさではなく、履き心地や価格、デザインを含めた総合的な商品力が問われる局面だ。
施設側の視点に立つと、今回の誘致は靴売場の補完や話題性だけを狙ったものではない。有楽町マルイを含む丸井グループは近年、完成された大手ブランドを集積する場から、新しい事業や価値観を社会実装する場へと役割を広げてきた。STARAYのような技術起点ブランドは、売場規模が小さくても体験と説明で価値が伝わり、来館者の反応を検証しやすい。これは都市型商業施設が「イノベーションハブ」として機能するうえで、極めて相性の良い業態といえる。
行政主導の実証拠点であるTIBと、民間の都市型商業施設である有楽町マルイが、段階的に同じブランドを受け止めている点も象徴的だ。実証、検証、そして常設化という流れは、イノベーションが都市の日常に組み込まれていくプロセスそのものを示している。商業施設は単にモノを売る場所ではなく、新しい技術や事業が生活者と出会い、評価され、定着していくための装置になりつつある。
STARAYの出店は、3Dプリントシューズという新しいプロダクトの挑戦であると同時に、都市型商業施設が果たし始めている役割の変化を映し出す事例でもある。売上規模だけでは測れない、来館者の反応や体験価値、次の横展開につながる示唆が、今後の評価軸になっていくだろう。以下、株式会社丸井グループのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■ショップ概要
店 名:STARAY有楽町マルイ店
オープン日:2026年2月12日(水)
営業時間 :11:00~20:00




