地方百貨店に組み込まれるオーダー業態──KASHIYAMA長崎出店から読む展開戦略
オーダーメイドスーツブランド KASHIYAMA が、2026年1月28日、長崎市内では初となる常設店舗「KASHIYAMA 長崎浜屋店」を開業する。出店先は 長崎浜屋 の1階で、売場面積は約89㎡、フィッティングルーム4室という構成である。単なる地方初出店というよりも、KASHIYAMAが近年進めてきた出店戦略の延長線上に位置付けられる動きといえる。
KASHIYAMAは「オーダーメイドの民主化」を掲げ、短納期と価格の明確さを武器に全国70店舗以上を展開してきた。直近では、郊外型ショッピングセンターへの出店が売上成長に寄与したことが公表されており、都市部の路面店や駅前立地に限らない店舗配置が進んでいる。長崎浜屋への出店も、特定の立地条件に依存しない業態であることを示す一例として位置付けられる。
注目すべきは、店舗規模と設計が全国展開の中で標準化されている点である。約90㎡という比較的コンパクトな売場に必要十分なフィッティング機能を集約し、サンプルを充実させることで、オーダー未経験層でも短時間で意思決定できる環境を整えている。大型店舗を地方都市に構えるのではなく、運営効率と回転を重視したモデルを横展開する姿勢がうかがえる。
また、長崎浜屋という百貨店立地を選んだ点は、KASHIYAMAの顧客獲得戦略とも重なる。百貨店は地域の基幹商業施設として、日常利用とともに家族同伴での来店が起きやすい場である。就職活動やフォーマル需要など、人生の節目でスーツを必要とする層にとって、安心感のある購買環境を提供できることは、初回顧客獲得の導線として合理的である。
さらに、同ブランドは2着目以降をオンラインで注文できる仕組みを整えており、実店舗は継続購入の入口としての役割を担う。地方百貨店にその入口を置くことは、単発の売上ではなく、長期的な顧客関係を前提とした出店と読み解くことができる。
今回の長崎出店は、KASHIYAMAが全国展開フェーズにおいて、立地や都市規模を問わず同一モデルを適用できる段階に入っていることを示している。百貨店1階という来店頻度の高い場所で、オーダースーツを日常的な選択肢として提示する試みは、同社の出店戦略を象徴する事例といえる。以下、株式会社オンワードパーソナルスタイルのプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
■「KASHIYAMA 長崎浜屋店」 ショップインフォメーション
- 住所:長崎県長崎市浜町7-11 長崎浜屋1階
- アクセス:JR「長崎駅」より徒歩約20分 / 長崎電気軌道「観光通」徒歩1分
- 営業時間: 10:00 – 19:00
- 定休日:なし
- 売場面積:89.40㎡
- フィッティング:4室
- お問い合わせ先:070-5451-4065




