サラベスが表参道に国内5号店を出店、朝から夜へと拡張する新たな業態展開
ニューヨーク発のレストランブランド「サラベス」が、表参道に国内5号店を出店する。1981年にアッパーウエストサイドで創業し、エッグベネディクトやフレンチトーストを象徴とする“NYの朝食の女王”として世界的な認知を得てきた同ブランドは、日本においても都心商業地を中心に実績を積み重ねてきた。既存の4店舗はいずれも駅周辺や高回遊エリアに位置し、朝食・ブランチ需要を中心に安定した集客を確立している。今回、表参道・原宿エリアへの出店は、ブランド価値をより鮮明に示す象徴的マーケットへのアプローチといえる。
出店地となる北青山は、国内外の高感度層が訪れる都内屈指の商業エリアであり、時間帯ごとに異なる利用目的が混在する特徴を持つ。日中は買い物や観光需要が大きく、夜間は食事や軽いバー利用を求める層が流入する。こうした市場特性を踏まえ、サラベス表参道店では朝食・ブランチの人気メニューを維持しつつ、ディナータイムのメニューを強化する姿勢を明確にしている点が注目される。アフター5の需要に対応する酒類や料理の拡充は、既存店舗にはない領域であり、同ブランドが都市型レストランとしてのレンジを広げる試みといえる。
また、店内環境を既存店から刷新する取り組みも特徴である。自然素材を基調とした内装にブルーをアクセントとして挿入し、昼夜で異なる雰囲気を楽しめる空間構成とした。陽光が差し込む日中には開放感を演出し、夜間には間接照明が柔らかい陰影を生み、時間帯ごとに表情が変化する設計とした点は、表参道の街並みと歩行者動線を意識したものと考えられる。さらにパーティールームや個室、テラス席を備えることで、多様な利用シーンに対応できる柔軟性を確保している。商業施設における用途の広がりを重視するデベロッパーにとっては、高回転型だけではなく、滞在価値を高めるテナントとして評価されやすい構成となっている。
小売機能を併せ持つ点も見逃せない。ブランドを象徴するフルーツスプレッドやオリジナルグッズを店頭で扱うことで、飲食にとどまらない収益多角化を図っている。表参道はギフト需要や来街者の購入意欲が比較的高いエリアであり、この小売機能は立地との親和性が高い。飲食と物販を併せ持つブランド店舗は、商業施設においてテナントミックス上のバランスを取りやすく、滞在と購買を連動させる効果も期待される。
今回の表参道店は、メニューブックやテーブルウェア、スタッフユニフォームを含む店づくりの要素を全面的に更新している。既存の国内4店舗とは異なる“最新フォーマット”を導入する姿勢は、ブランドの再定義や長期的なリブランディングを示しており、これまでの朝食主体のイメージに対し、より広い時間帯をカバーする都市型レストランとしての方向性を提示しているといえる。表参道という立地の性格を踏まえれば、朝食から夜の食事まで一貫して提供することは、来街者の動線と時間帯変化に対応した合理的な戦略といえる。
国内外の飲食ブランドが集積する表参道エリアにおいて、サラベスのように世界観を強く持つレストランは街の価値を高める存在である。今回の出店により、表参道の多様な食シーンに新たな選択肢が加わるとともに、同ブランドにとっても新たな顧客層との接点が広がることが見込まれる。時間帯によって異なる需要を吸収する構造は、商業施設におけるテナントの安定性を左右する重要な要素であり、今後の都心型レストランのモデルケースとしても注目される。以下、同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
< サラベス 表参道店 オープン概要 >
※2025年11月17日現在情報
◇ 店舗名称:
サラベス 表参道店
◇ オープン日:
2025年12月15日(月)
◇ 所在地:
東京都港区北青山3丁目8-15 GREEN TERRACE 表参道 2階
◇ 営業時間:
9:00〜22:00(フード21:00、ドリンク21:30 LO)
◇ 席数:
81席(店内73席/テラス8席)







