エスパル仙台に「ITAGAKI FRUITS LOUNGE」と「QBハウス」が相次いで出店──東館・本館の機能性を高める2業態が新たに加わる
仙台駅直結のエスパル仙台において、東館と本館それぞれのフロア特性を補完する2店舗が新たに加わる。「ITAGAKI FRUITS LOUNGE」と「QBハウス」の出店である。ともに11月下旬の開業を予定しており、同施設が強みとする回遊性の高い駅ビル空間に、新たな利用動機を付加する構成となっている。
東館2階に登場する「ITAGAKI FRUITS LOUNGE」は、1897年創業の果物専門店「いたがき」が手掛ける飲食業態である。仙台では広く認知される老舗ブランドで、生鮮果実を中心とした高品質な商品づくりに定評がある。同社は市内百貨店や直営店を通じて果物の魅力を発信してきたが、今回の出店では「大人のティールーム」として、カフェとしての滞在価値を重視した空間を構成する点が特徴となる。東館2階はスイーツ・食品系のテナントが集積する“スイーツガーデン”の位置付けにあり、ギフト需要や観光客需要が高いフロアである。同エリアの方向性と整合性を持つ出店であり、既存テナント群の魅力を補強する要素となる。
提供するメニューはパフェやケーキ、フレンチトースト、ランチセットなど、フルーツを軸にしたデザート・軽食が中心となる。ハンドドリップで淹れるコーヒーやポットサービスの紅茶など、飲み物の品質にも重点が置かれる。一部に「おひとりさま席」を整備するなど、利用のしやすさにも配慮した設計が見て取れる。通勤・通学客の多い駅直結立地でありながら、日常から少し離れた落ち着きのある時間を提供する店舗となる。
一方、本館B1階にはヘアカット専門店「QBハウス」が出店する。同ブランドは短時間・定額制のヘアカット業態として広く知られ、全国における駅ナカ・駅ビルを中心に多店舗展開を続けている。仙台駅周辺でも男性・女性を問わず幅広い客層の需要が見込まれ、移動の合間に立ち寄れるサービスとして機能する。予約不要で素早く利用できる点は、駅ビルに求められる利便性と高い親和性を持つ。本館B1階は日常使いの店舗が多いフロアであり、デイリー用途のサービスを拡充する今回の出店はフロア機能の強化につながる。
エスパル仙台では近年、食品・スイーツ・ギフト分野の強化とともに、デイリーサービスの更新が続いている。「ガトーフェスタ ハラダ」や菓子類の期間限定店など、トレンド性の高い食関連テナントを積極的に導入する一方で、ドラッグストアや理美容関連など、日常生活を支えるサービス機能も整備してきた。今回の2店舗はその流れを補完する構成であり、生活者の多様な行動動線を持つ仙台駅において、幅広い利用目的に応えるテナントミックスをさらに強化する位置付けといえる。
老舗ローカルブランドによる飲食空間の創出と、全国チェーンによる即時性の高いサービス導入という異なるアプローチが、同じタイミングで加わる点は興味深い。前者は“地域価値”を、後者は“利便価値”を高めるものであり、双方が駅ビルの回遊性向上に寄与することが期待される。東北最大級のターミナルである仙台駅において、日々の生活、買い物、飲食、移動のそれぞれの接点において、利用者にとっての選択肢が広がる開業となる。以下、仙台ターミナルビル株式会社のプレスリリースから画像を引用。





