江戸前の伝統を東北へ──「寿司田」エスパル仙台に移転オープン、70年の技を継ぐ新拠点に
1955年に東京・日本橋茅場町で創業した「寿司田」が、2025年11月4日、エスパル仙台本館B1階に移転オープンする。運営する株式会社寿司田(本社:東京都豊島区)は、創業以来一貫して江戸前寿司の技法を守り続けてきた老舗であり、今回の出店は同ブランドにとって仙台の地で新たな節目を迎えるものとなる。
江戸前寿司は、江戸時代後期に生まれた寿司文化で、東京湾で獲れた魚介を使い、保存と旨味を両立させる「江戸前仕事」によって発展してきた。酢締めや漬け、煮詰め、煮切りなどの技法を駆使し、食材の個性を最大限に引き出す職人の仕事こそが、江戸前の本質である。寿司田は創業以来、その“江戸の技”を基礎に据え、立ちの良いシャリと季節の素材を組み合わせた丁寧な仕事で知られてきた。
1975年に仙台へ初出店して以来、東北の海と山の恵みを江戸前の技で仕立てる独自のスタイルを築いてきた同店は、今回の移転により、駅ナカ・駅ビルという交通結節点での展開を再強化する。仙台駅直結のエスパル仙台本館B1階は、地元利用者に加え観光・ビジネス客が交差する動線上にあり、質の高い飲食ゾーンとして注目を集めている。寿司田の出店は、その中で“本格的ながら日常使いできる寿司店”として施設の業態バランスを高める存在になる。
寿司田の特徴は、職人が立つカウンター席にある。客の目の前で一貫ずつ握るスタイルは、江戸前寿司の原点ともいえる体験であり、職人の所作を含めた空間そのものがブランド価値を構成する。同社は現在、東京や大阪、札幌など全国の主要都市に複数のブランドを展開し、寿司文化を広く伝えているが、仙台では特に「地域の旬を江戸前で味わう」というコンセプトを前面に打ち出している。東北産の魚介を江戸前技法で仕立てるという発想は、寿司田が半世紀にわたって仙台の街に根付いてきた理由でもある。
今回の移転オープンは、エスパル仙台にとっても飲食フロアの再編成の一環とみられる。交通利便性の高い立地に“江戸前の正統”を導入することで、施設全体のブランド力を高める狙いがあるといえる。駅直結の商業施設において、職人技と上質な接客を伴う寿司業態は、単なる飲食ではなく「体験型コンテンツ」としての価値を持ち、インバウンドや観光客にも訴求しやすい。
70年近い歴史を重ねながら、地域の旬を取り入れ、江戸前の流儀を現代に生かす寿司田。東北と江戸の味が交わる新たなカウンターは、エスパル仙台のB1階に新しい賑わいをもたらすだろう。以下、プレスリリースから画像を引用。